振る べき か 降ら ざる。 MY日記

岡崎久彦

振る べき か 降ら ざる

テレビのニュースや新聞の三面には、むごたらしい犯罪が毎日のように報じられています。 それらの事件の中には、私たちの想像を越えて、まさに「極悪非道」といえそうなものもあります。 メディアは、被害者や家族の悲しみと怒りを大きく伝え、そのような犯罪が二度と繰り返されることのないように、動機の解明や法の整備を専門家に求めます。 そうした報道で気になるのは、読者や視聴者の正義感に訴え、罪を犯した人を「悪人」として告発し、社会から排除しようとするような論調が強くなっていることです。 そこでは、犯人に対する怒りや憎しみだけが一方的に増幅されているように感じられます。 しかし、冷静に自らを省みるなら、ほんとうに「自分は絶対にあのようなひどいことはしない」と言い切れる人がいるでしょうか。 親鸞は、無反省のうちに自らを善とし、悪をなした他者を否定しようとするような態度を厳しく批判します。 冒頭に掲げたことばは、「しかるべき業縁にうながされるならば、どんな行いもするであろう」という意味です。 もしそうせざるをえないような情況に置かれたならば、自分はどんなふるまいもしかねない、どんなに非道なこともやりかねない、という深い自省のことばです。 親鸞は、そういう自らのあり方を自覚することの大切さを訴えているのです。 私たちは、たまたま生まれ育った境遇や、現在の生活や人間関係が犯罪を促すようなものでないので、今は重罪を犯すことが思いもよらないだけなのです。 もし、考えもおよばないような情況に追いつめられたり、犯罪を引き起こすような条件が周りにそろってしまったならば、自分も何をしでかすか分からない。 そのような想像力がとても大事なのではないでしょうか。 そういう自覚に立つなら、被害者への共感と共に、取り返しのつかない罪を犯してしまった人たちへの共感も生まれるはずです。 さまざまに異なった性格・能力・資質・境遇の人間が一緒に生きていく社会を築くために必要なのは、怒りや憎しみを増幅させることではありません。 「さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし」という自覚と、それにもとづいた他者への「思いやり」、つまり共感的な想像力を持つことなのです。

次の

岡崎久彦

振る べき か 降ら ざる

鳥を詠める 1888 白雪の過ぎにけらしも春霞たなびく 野辺 ぬへ の鴬鳴きぬ 旋頭歌 1819 打ち靡く春立ちぬらし我が門の柳の 末 うれ に鴬鳴きつ 1820 梅の花咲ける岡辺に家 居 を れば 乏 とも しくもあらぬ鴬の声 1821 春霞流るるなべに青柳の枝くひ持ちて鴬鳴くも 1822 我が背子を 莫越 なこせ の山の呼子鳥君呼び返せ夜の更けぬとに 1823 来鳴く 貌鳥 かほとり 汝 なれ だにも君に恋ふれや時終へず鳴く 1824 冬こもり春さり来らしあしひきの山にも野にも鴬鳴くも 1825 むらさきの根 延 ば ふ横野の春野には君を懸けつつ鴬鳴くも 1826 春されば妻を求むと鴬の木末を伝ひ鳴きつつもとな 1827 春日なる羽がひの山よ佐保の内へ鳴き行くなるは 誰 たれ 呼子鳥 1828 答へぬにな呼び 響 とよ めそ呼子鳥佐保の山辺を上り下りに 1829 梓弓春山近く家 居 を らし継ぎて聞くらむ鴬の声 1830 打ち靡く春さり来れば 尾羽 をは 打ち触りて鴬鳴くも 1831 朝霧にしぬぬに濡れて呼子鳥三船の山よ鳴き渡る見ゆ 1832 打ち靡く春さり来ればしかすがに天雲 霧 きら ひ雪は降りつつ 1833 梅の花降り覆ふ雪を包み持ち君に見せむと取れば 消 け につつ 1834 梅の花咲き散り過ぎぬしかすがに白雪庭に降りしきりつつ 1835 今さらに雪降らめやも 陽炎 かぎろひ の燃ゆる春へとなりにしものを 1836 風まじり雪は降りつつしかすがに霞たなびき春さりにけり 1837 山の 際 ま に鴬鳴きて打ち靡く春と思へど雪降りしきぬ 1838 峯 を のうへに降り置ける雪し風の 共 むた ここに散るらし春にはあれども 右ノ一首ハ、筑波山ニテ 作 ヨ メル。 1839 君がため山田の沢にゑぐ摘むと 雪消 ゆきげ の水に裳の裾濡れぬ 1840 梅が枝に鳴きて移ろふ鴬の羽白妙に沫雪ぞ降る 1841 山 高 だか み降り来る雪を梅の花散りかも来ると思ひつるかも 1842 雪をおきて梅をな恋ひそあしひきの山片つきて 右ノ二首ハ、問答。 霞を詠める 1843 昨日こそ年は果てしか春霞春日の山に早立ちにけり 1844 冬過ぎて春来たるらし朝日さす春日の山に霞たなびく 1845 鴬の春になるらし春日山霞たなびく夜目に見れども 柳を詠める 1846 霜枯れし冬の柳はかづらにすべく萌えにけるかも 1847 浅緑染め懸けたりと見るまでに春の柳は萌えにけるかも 1848 山の際に雪は降りつつしかすがにこの 川楊 かはやぎ は萌えにけるかも 1849 山の際の雪は消ざるを萌えにけるかも 1850 朝な 朝 さ な 吾 あ が見る柳鴬の来居て鳴くべく森に早なれ 1851 青柳の糸のくはしさ春風に乱れぬい間に見せむ子もがも 1852 百敷の大宮人のかづらける 垂柳 しだりやなぎ は見れど飽かぬかも 1853 梅の花取り持ち見れば我が屋戸の柳の 眉 まよ し思ほゆるかも 花を詠める 1887 春日なる三笠の山に月も出でぬかも佐紀山に咲ける桜の花の見ゆべく 旋頭歌 1854 鴬の 木伝 こづた ふ梅のうつろへば桜の花の時かたまけぬ 1855 桜花時は過ぎねど見る人の恋の盛りと今し散るらむ 1856 吾 あ が挿せる柳の糸を吹き乱る風にか妹が梅の散るらむ 1857 毎年 としのは に梅は咲けども空蝉の春なかりけり 1858 うつたへに鳥は 食 は まねど 縄 しめ 延へて 守 も らまく欲しき梅の花かも 1859 高き山辺を白妙ににほはせたるは 1860 花咲きて実はならねども長き 日 け に思ほゆるかも山吹の花 1861 能登川の水底さへに照るまでに三笠の山は咲きにけるかも 1862 雪見ればいまだ冬なりしかすがに春霞立ち梅は散りつつ 1863 去年 こぞ 咲きしいたづらに土にや散らむ見る人なしに 1864 あしひきの 山間 やまかひ 照らす桜花この春雨に散りにけるかも 1865 打ち靡く春さり来らし山の際の遠き 木末 こぬれ の咲きゆく見れば 1866 雉 きぎし 鳴く 高圓 たかまと の 辺 べ に桜花散りて流らふ見む人もがも 1867 阿保山の桜の花は今日もかも散り乱るらむ見る人なしに 1868 かはづ鳴く吉野の川の 滝 たぎ の 上 へ の 1869 春雨に争ひかねて我が屋戸の桜の花は咲きそめにけり 1870 春雨はいたくな降りそ桜花いまだ見なくに散らまく惜しも 1871 春されば散らまく惜しき桜花しましは咲かず 含 ふふ みてもがも 1872 見渡せば春日の野辺に霞立ち咲きにほへるは桜花かも 1873 いつしかもこの夜の明けむ鴬の木伝ひ散らす梅の花見む 月を詠める 1874 春霞たなびく今日の 夕月夜 ゆふづくよ 清く照るらむ 1875 春されば夕月夜おほつかなしも山陰にして 1876 朝霞春日の暮れば木の間より移ろふ月をいつとか待たむ 雨を詠める 1877 春の雨にありけるものを立ち隠り妹が家道にこの日暮らしつ 河を詠める 1878 今ゆきて聞くものにもが明日香川春雨降りて 激 たぎ つ瀬の 音 と を 煙 けぶり を詠める 1879 春日野に煙立つ見ゆ 娘子 をとめ らし春野のうはぎ摘みて煮らしも 野の遊び 1880 春日野の浅茅が上に思ふどち遊ぶこの日の忘らえめやも 1881 春霞立つ春日野を往き還り 吾 あれ は相見むいや年のはに 1882 春の野に思ふどち来し今日の日は暮れずもあらぬか 1883 百敷の大宮人は 暇 いとま あれや梅を挿頭してここに 集 つど へる 旧 ふ りぬるを歎く 1884 冬過ぎて春し来たれば年月は改れども人は古りゆく 1885 物皆は 新 あらた しき吉し唯人は古りぬるのみそ宜しかるべし 逢へるを 懽 よろこ ぶ 1886 住吉 すみのえ の里ゆきしかば春花のいやめづらしき君に逢へるかも 譬喩歌 たとへうた 1889 我が屋戸の毛桃の下に月夜さしうたてこの頃 春の 相聞 したしみうた 1890 春日野に泣き別れ帰ります間も思ほせ 吾 あれ を 1891 冬こもり春咲く花を手折り持ち千たびの限り恋ひ渡るかも 1892 春山の霧に惑へる鴬も 吾 あれ にまさりて物思はめや 1893 出でて見る向ひの岡に本繁くならずはやまじ 1894 霞立つ恋ひ暮らし夜も更けゆきて妹に逢へるかも 1895 春さればまづ 三枝 さきくさ の 幸 さき くあらば後にも逢はむな恋ひそ 我妹 わぎも 1896 春されば 垂 しだ る柳のとををにも妹に心に乗りにけるかも 右ノ七首ハ、柿本朝臣人麿ノ歌集ニ出ヅ。 鳥に寄す 1897 春さればもずの草 潜 ぐ き見えずとも 吾 あれ は見やらむ君があたりは 1898 容鳥 かほとり の間なくしば鳴く春の野の草根の繁き恋もするかも 花に寄す 1899 春されば卯の花くたし 吾 あ が越えし妹が 垣間 かきま は荒れにけるかも 1900 梅の花咲き散る園に 吾 あれ 行かむ君が使を片待ちがてり 1901 藤波の咲ける春野に延ふ 葛 くず の下よし恋ひば久しくもあらむ 1902 春の野に霞たなびき咲く花のかくなるまでに逢はぬ君かも 1903 我が背子に 吾 あ が恋ふらくは奥山の馬酔木の花の今盛りなり 1904 梅の花しだり柳に折りまじへ花に手向けば君に逢はむかも 1905 をみなへし佐紀野に生ふる白つつじ知らぬこともち言はれし我が背 1906 梅の花 吾 あれ は散らさじ青丹よし奈良なる人の来つつ見るがね 1907 いかで植ゑけむ山吹のやむ時もなく恋ふらく 思 も へば 霜に寄す 1908 春されば 水草 みくさ の上に置く霜の 消 け につつも 吾 あれ は恋ひ渡るかも 霞に寄す 1909 おほほしく妹を相見て後恋ひむかも 1910 春霞立ちにし日より今日までに 吾 あ が恋やまず 1911 さ 丹頬 にづら ふ妹を思ふと霞立つ春日もくれに恋ひ渡るかも 1912 玉きはる我が山の 上 へ に立つ霞立つとも 座 う とも君がまにまに 1913 見渡せば春日の野辺に立つ霞見まくの欲しき君が姿か 1914 恋ひつつも今日は暮らしつ霞立つ明日の春日をいかで暮らさむ 雨に寄す 1915 恋ひてすべなみ春雨の降るわき知らに出でて来しかも 1916 今さらに春雨の心を人の知らざらなくに 1917 春雨に衣はいたく通らめや 七日 なぬか し降らば 七夜 ななよ 来じとや 1918 梅の花散らす春雨旅にや君が廬りせるらむ 草に寄す 1919 国栖 くにす らが春菜摘むらむ 司馬 しま の野のしばしば君を思ふこの頃 1920 春草の繁き 吾 あ が恋大海の千重に積もりぬ 1921 おほほしく君を相見て菅の根の長き春日を恋ひ渡るかも 松に寄す 1922 梅の花咲きて散りなば我妹子を来むか来じかと 吾 あ が松の木ぞ 雲に寄す 1923 白真弓今春山にゆく雲の行きや別れむ恋しきものを 蘰 かづら を贈る 1924 大夫 ますらを の伏し居嘆きて作りたる 蘰 かづら け 我妹 わぎも 別れを悲しむ 1925 朝戸出の君が姿をよく見ずて長き春日を恋ひや暮らさむ 問答 とひこたへのうた 1926 春山の馬酔木の花の悪しからぬ君にはしゑや寄せぬともよし 1927 石上 いそのかみ 布留 ふる の 神杉 かむすぎ 神さびて 吾 あれ やさらさら恋にあひにける 1928 狭野方 さぬかた は実にならずとも花のみも咲きて見えこそ恋のなぐさに 1929 狭野方は実になりにしを今更に春雨降りて花咲かめやも 1930 梓弓引津の 辺 べ なる 名告藻 なのりそ が花咲くまでに逢はぬ君かも 1931 川上 かはかみ のいつ藻の花のいつもいつも来ませ我が背子時じけめやも 1932 春雨のやまず降る降る 吾 あ が恋ふる人の目すらを相見せなくに 1933 我妹子に恋ひつつ居れば春雨の彼も知るごとやまず降りつつ 1934 相思はぬ妹をやもとな菅の根の長き春日を思ひ暮らさむ 1936 相思はずあるらむ子ゆゑ玉の緒の長き春日を思ひ暮らさく 1935 春さればまづ鳴く鳥の鴬の言先立てし君をし待たむ 夏の 雑歌 くさぐさのうた 鳥を詠める 1937 大夫 ますらを の 出で立ち向ふ 故郷の 神奈備山に 明けくれば 柘 つみ のさ枝に 夕されば 小松が 末 うれ に 里人の 聞き恋ふるまで 山彦の 相 響 とよ むまで 霍公鳥 ほととぎす 妻恋 つまこひ すらし さ夜中に鳴く 反 かへ し歌 1938 旅にして妻恋すらし霍公鳥神奈備山にさ夜更けて鳴く 右ノ二首ハ、古歌集ノ中ニ出ヅ。 1939 霍公鳥 汝 な が初声は五月の玉にまじへて 貫 ぬ かむ 1940 朝霞たなびく野辺にあしひきの山霍公鳥いつか来鳴かむ 1941 朝霞八重山越えて呼子鳥屋戸もあらなくに 1942 霍公鳥鳴く声聞くや卯の花の咲き散る岡に葛引く乙女 1943 月夜よみ鳴く霍公鳥見が欲れば見む人もがも 1944 藤波の散らまく惜しみ霍公鳥 今城 いまき の岡を鳴きて越ゆなり 1945 八重山越えて霍公鳥卯の 花辺 はなへ から 1946 木高くはかつて木植ゑじ霍公鳥来鳴き響めて恋まさらしむ 1947 逢ひがたき君に逢へる夜霍公鳥 他時 あたしとき よは今こそ鳴かめ 1948 木の 暗 くれ の暗闇なるに霍公鳥いづくを家と鳴き渡るらむ 1949 霍公鳥今朝の朝明に鳴きつるは君聞きけむか 朝宿 あさい か寝けむ 1950 霍公鳥花橘の枝に居て鳴き響もせば花は散りつつ 1951 うれたきや 醜 しこ 霍公鳥今こそは声の嗄るがに来鳴き響まめ 1952 この夜らのおほつかなきに霍公鳥鳴くなる声の音の遥けさ 1953 五月山卯の花月夜霍公鳥聞けども飽かずまた鳴かぬかも 1954 霍公鳥来居も鳴かぬか我が屋戸の花橘の土に 1955 霍公鳥いとふ時なし菖蒲草かづらにせむ日こよ鳴き渡れ 1956 大和には鳴きてか来らむ霍公鳥汝が鳴くごとに亡き人思ほゆ 1957 卯の花の散らまく惜しみ霍公鳥野に出山に 入 り 来鳴き響もす 1958 橘の林を植ゑむ霍公鳥常に冬まで住みわたるがね 1959 雨晴れし雲にたぐひて霍公鳥 春日 かすが をさしてこよ鳴き渡る 1960 物 思 も ふとい寝ぬ朝明に霍公鳥鳴きてさ渡るすべなきまでに 1961 我が 衣 ころも 君に着せよと霍公鳥袖に来居つつ 1962 本つ人霍公鳥をやめづらしく今や汝が来る恋ひつつ居れば 1963 かくばかり雨の降らくに霍公鳥卯の花山になほか鳴くらむ 蝉 ひぐらし を詠める 1964 黙 もだ もあらむ時も鳴かなむひぐらしの物 思 も ふ時に鳴きつつもとな 榛 はり を詠める 1965 思ふ子が衣摺らむににほひこそ島の榛原秋立たずとも 花を詠める 1966 風に散る花橘を袖に受けて偲ひつるかも 1967 かぐはしき花橘を玉に貫きおこせむ妹は 贏 みつ れてもあるか 1968 霍公鳥来鳴き響もす橘の花散る庭を見む人や誰 1969 我が屋戸の花橘は散りにけり悔しき時に逢へる君かも 1970 見渡せば向ひの野辺の撫子の散らまく惜しも雨な降りそね 1971 雨間 あまま 明けて国見もせむを故郷の花橘は散りにけむかも 1972 野辺見れば撫子の花咲きにけり 吾 あ が待つ秋は近づくらしも 1973 我妹子に 楝 あふち の花は散り過ぎず今咲けるごとありこせぬかも 1974 春日野の何をかも御狩の人の折りて 挿頭 かざ さむ 1975 時ならず玉をぞ貫ける卯の花の五月を待たば久しかるべみ 問答 1976 卯の花の咲き散る岡よ霍公鳥鳴きてさ渡る君は聞きつや 1977 聞きつやと君が問はせる霍公鳥しぬぬに濡れてこよ鳴き渡る 譬喩歌 1978 橘の花散る里に通ひなば山霍公鳥響もさむかも 夏の 相聞 したしみうた 鳥に寄す 1979 春さればすがるなす野の霍公鳥ほとほと妹に逢はず来にけり 1980 五月山花橘に霍公鳥隠らふ時に逢へる君かも 1981 霍公鳥来鳴く五月の短夜も独りし 寝 ぬ れば明かしかねつも 蝉 ひぐらし に寄す 1982 ひぐらしは時と鳴けども 手弱女 たわやめ 吾 あれ は時わかず泣く 草に寄す 1983 人言は夏野の草の繁くとも妹と 吾 あれ とし携はり寝ば 1984 この頃の恋の繁けく夏草の刈り掃へども生ひ 重 し くごとし 1985 真葛延ふ夏野の繁くかく恋ひば 実 さね 我が命常ならめやも 1986 吾 あれ のみやかく恋すらむかきつはた 丹頬 につら ふ妹はいかにかあらむ 花に寄す 1987 片縒 かたより に糸をぞ 吾 あ が縒る我が背子が花橘を貫かむと 思 も ひて 1988 鴬の通ふ垣根の卯の花の憂きことあれや君が来まさぬ 1989 卯の花の咲くとはなしにある人に恋ひやわたらむ 片思 かたもひ にして 1990 吾 あれ こそは憎くもあらめ我が屋戸の花橘を見には来じとや 1991 霍公鳥来鳴き響もす岡辺なる藤波見には君は来じとや 1992 隠 こも りのみ恋ふれば苦し撫子の花に咲き出よ朝な 朝 さ な見む 1993 よそのみに見つつを恋ひむ紅の 末摘花 うれつむはな の色に出でずとも 露に寄す 1994 夏草の露分け衣 着 け せなくに 吾 あ が 衣手 ころもて の 干 ひ る時もなき 日に寄す 1995 六月 みなつき の土さへ裂けて照る日にも 吾 あ が袖干めや君に逢はずして 秋の 雑歌 くさぐさのうた 七夕 なぬかのよ 1996 天の川ひかる舟泊てし舟人妹と見えきや 1997 久かたの天の 川原 がはら にぬえ鳥のうら 歎 な げましつ 乏 とも しきまでに 1998 吾 あ が恋を 嬬 つま は知れるを行く舟の過ぎて 来 く べしや 1999 赤らびくしば見れば人妻ゆゑに 吾 あれ 恋ひぬべし 2000 天の川安の渡りに船浮けて妹に告げこそ 2001 大空 おほそら よ通ふ 吾 あれ すら 汝 な がゆゑに天の 川道 がはぢ をなづみてぞ来し 2002 八千戈 やちほこ の神の御代より乏し妻人知りにけり継ぎてし 思 も へば 2003 吾 あ が恋ふる 丹穂 にのほ の 面 おもわ 今宵もか天の川原に 石枕 いそまくら まかむ 2004 己が 夫 つま ともしむ子らは泊てむ津の 荒磯 ありそ 巻きて 寝 ぬ 君待ちかてに 2005 天地 あめつち と別れし時よ己が妻しかぞ手にある秋待つ 吾 あれ は 2006 彦星は嘆かす妻に言だにも告げにぞ来つる見れば苦しみ 2007 久かたの 天 あま つしるしと 水無川 みなしがは 隔てて置きし神代し恨めし 2008 ぬば玉の夜霧 隠 こも りて遠くとも早く告げこそ 2009 汝が恋ふる妹の 命 みこと は袖振る見えつ雲隠るまで 2010 通ふ 天道 あまぢ をいつまでか仰ぎて待たむ 月人壮士 つきひとをとこ 2011 天の川い向ひ立ちて言だに告げむ 2012 白玉の 五百 いほ つ集ひを解きも見ず逢はむ日待つに 2013 天の川 水陰草 みこもりくさ の秋風に靡かふ見れば時来たるらし 2014 吾 あ が待ちし秋萩咲きぬ今だにもにほひに行かな 彼方人 をちかたひと に 2015 我が背子にうら恋ひ居れば天の川夜船榜ぎ響む楫の 音 と 聞こゆ 2016 ま 日 け 長く恋ふる心よ秋風に妹が音聞こゆ 2017 恋ひしくは日長きものを今だにも乏しむべしや逢ふべき夜だに 2018 天の川去年の渡りで移ろへば川瀬を踏むに夜ぞ更けにける 2019 古よあげてし 服 はた を顧みず天の 川津 かはづ に年ぞ経にける 2020 天の川夜船を榜ぎて明けぬとも逢はむと 思 も ふ夜袖 交 か へずあらめや 2021 遠妻と手枕交はし寝たる夜は鶏が 音 ね な鳴き明けば明くとも 2022 相見まく飽き足らねどもいなのめの明けゆきにけり舟出せむ妹 2023 さ寝そめていくだもあらねば白妙の帯乞ふべしや恋も尽きねば 2024 万代にたづさはり居て相見とも思ひ過ぐべき恋ならなくに 2025 万代に照るべき月も雲隠り苦しきものぞ逢はむと思へど 2026 白雲の 五百重 いほへ 隠 かく りて遠けども宵さらず見む妹があたりは 2027 吾 あ が為と 織女 たなばたつめ のその屋戸に織れる 白布 しろたへ 2028 君に逢はず久しき時よ織る 服 はた の白妙衣垢付くまでに 2029 天の川楫の 音 と 聞こゆ 彦星 ひこほし と 織女 たなばたつめ と今宵逢ふらしも 2030 秋されば川霧立てる天の川川に向き居て恋ふる夜ぞ多き 2031 よしゑやし 直 ただ ならずともぬえ鳥のうら 嘆 な げ居ると告げむ子もがも 2032 一年 ひととせ に七日の夜のみ逢ふ人の恋も尽きねば 2033 天の川安の川原に定まりて神の 競 つど ひは 此歌一首、庚辰ノ年ニ作メル。 右ノ三十八首ハ、柿本朝臣人麿ノ歌集ニ出ヅ。 2034 織女 たなばた の 五百機 いほはた 立てて織る布の誰か取り見む 2035 年にありて今か巻くらむぬば玉の夜霧 隠 がく りに遠妻の手を 2036 吾 あ が待ちし秋は来たりぬ妹と 吾 あれ 何事あれそ紐解かざらむ 2037 年の恋今宵尽して明日よりは常のごとくや 吾 あ が恋ひ居らむ 2038 逢はなくは日長きものを天の川隔ててまたや 吾 あ が恋ひ居らむ 2039 恋しけく日長きものを逢ふべかる宵だに君が来まさざるらむ 2040 彦星と 織女 たなばたつめ と今宵逢ふ天の川門に波立つなゆめ 2041 秋風の吹き漂はす白雲は織女の天つ 領巾 ひれ かも 2042 しばしばも相見ぬ君を天の川舟出早せよ夜の更けぬあひだ 2043 秋風の 清 さや けき夕へ天の川舟榜ぎ渡る 月人壮士 つきひとをとこ 2044 天の川霧立ちわたり彦星の楫の音聞こゆ夜の更けゆけば 2045 君が舟今榜ぎ来らし天の川霧立ち渡るこの川の瀬に 2046 秋風に川波立ちぬしましくは 八十 やそ の舟津にみ舟留めよ 2047 天の川 川音 かはと さやけし彦星の波のさわきか 2048 天の川 川門 かはと に立ちて 吾 あ が恋ひし君来ますなり紐解き待たむ 2049 天の川川門に居りて年月を恋ひ 来 こ し君に今宵会へるかも 2050 明日よりは 吾 あ が玉床を打ち払ひ君とい寝ずて独りかも寝む 2051 天の原白真弓引きて隠せる月人壮士 2052 この夕へ降りくる雨は彦星の早榜ぐ舟の櫂の散りかも 2053 天の川八十瀬 霧 きら へり彦星の時待つ船は今し榜ぐらし 2054 風吹きて川波立ちぬ引船に渡りも来ませ夜の更けぬ間に 2055 天の川遠き渡りは無けれども君が舟出は年にこそ待て 2056 天の川打橋渡せ妹が家道やまず通はむ時待たずとも 2057 月重ね 吾 あ が 思 も ふ妹に会へる夜は今し七夜を継ぎこせぬかも 2058 年に装ふ 吾 あ が舟榜がむ天の川風は吹くとも波立つなゆめ 2059 天の川波は立つとも 吾 あ が舟はいざ榜ぎ出でむ夜の更けぬ間に 2060 ただ今宵逢ひたる子らに 言問 こととひ もいまだせずしてさ夜ぞ明けにける 2061 天の川白波高し 吾 あ が恋ふる君が舟出は今しすらしも 2062 機物 はたもの のふみ木持ちゆきて天の川打橋渡す君が来むため 2063 天の川霧立ちのぼる 織女 たなばた の雲の衣の 翻 かへ る袖かも 2064 古に織りてし 服 はた をこの夕へ 衣 ころも に縫ひて君待つ 吾 あれ を 2065 足玉 あしたま も 手玉 たたま もゆらに織る 絹布 はた を君が 御衣 みけし に縫ひあへむかも 2066 月日 択 え り逢ひてしあれば別れまく惜しかる君は明日さへもがも 2067 天の川渡り瀬深み船浮けて榜ぎ来る君が楫の 音 と 聞こゆ 2068 天の原振りさけ見れば天の川霧立ち渡る君は 来 き ぬらし 2069 天の川 幣 ぬさ まつる心は君を 幸 さき く来ませと 2070 久かたの天の川津に舟浮けて君待つ夜らは明けずもあらぬか 2071 天の川足濡れ渡り君が手もいまだまかねば夜の更けぬらく 2072 渡り守舟渡せをと呼ぶ声の至らねばかも楫の音せぬ 2073 ま日長く川に向き立ちありし袖こよひ巻かれむと思ふがよさ 2074 天の川渡り瀬ごとに思ひつつ来しくもしるし逢へらく思へば 2075 人さへや見継がずあらむ彦星の妻呼ぶ舟の近づきゆくを 2076 天の川瀬を早みかもぬば玉の夜は更けにつつ逢はぬ彦星 2077 渡り守舟はや渡せ一年にふたたび通ふ君ならなくに 2078 玉葛 たまかづら 絶えぬものからさ 寝 ぬ らくは年の渡りにただ一夜のみ 2079 恋ふる日は日長きものを今宵だに乏しむべしや逢ふべきものを 2080 織女 たなばた の今宵逢ひなば常のごと明日を隔てて年は長けむ 2081 天の川棚橋渡せ織女のい渡らさむに棚橋渡せ 2082 天の川川門 八十 やそ ありいづくにか君がみ舟を 吾 あ が待ち居らむ 2083 秋風の吹きにし日より天の川待つと告げこそ 2084 天の川 去年 こぞ の渡り瀬君が来まさむ道の知らなく 2085 天の川瀬々に白波高けども 直 ただ 渡り 来 き ぬ待たば苦しみ 2086 彦星の妻呼ぶ舟の引綱の絶えむと君を 吾 あ が 思 も はなくに 2087 渡り守今宵のみ相見て後は逢はじものかも 2088 吾 あ が隠せる楫棹なくて渡り守舟貸さめやもしましはあり待て 2089 天地の 初めの時よ 天の川 い向ひ居りて 一年に ふたたび逢はぬ 妻恋に 物思ふ人 天の川 安の川原の あり通ふ 艫 とも にも 舳 へ にも 船装 ふなよそ ひ 真楫しじ貫き 旗すすき 末葉 うらば もそよに 秋風の 吹きくる宵に 天の川 白波しぬぎ 落ちたぎつ 早瀬渡りて 若草の 妻を巻かむと 大船の 思ひ頼みて 榜ぎ来らむ その 夫 つま の子が あら玉の 年の緒長く 思ひ来し 恋尽すらむ 七月 ふみつき の 七日の宵は 吾 あれ も悲しも 反し歌 2090 高麗錦 こまにしき 紐解きかはし 天人 あめひと の妻問ふ宵ぞ 吾 あれ も 偲 しぬ はむ 2091 彦星の川瀬を渡るさ小舟の得行きて泊てむ川津し思ほゆ 2092 天地と 別れし時よ 久かたの 天つしるしと 定めてし 天の川原に あら玉の 月を重ねて 妹に逢ふ 時さもらふと 立ち待つに 吾 あ が衣手に 秋風の 吹きしかへれば 立ちて居る たどきを知らに むら肝の 心いさよひ 解き衣の 思ひ乱れて いつしかと 吾 あ が待つ今宵 この川の ありこせぬかも 反し歌 2093 妹に逢ふ時片待つと久かたの天の川原に月ぞ経にける 花を詠める 2094 さ牡鹿の心相思ふ秋萩のしぐれの降るに散らくし惜しも 2095 夕されば野辺の秋萩うら若み露に枯れつつ秋待ち難し 右ノ二首ハ、柿本朝臣人麿ノ歌集ニ出ヅ。 2096 真葛原靡く秋風吹くごとに 阿太 あだ の大野の萩が花散る 2097 雁がねの来鳴かむ日まで見つつあらむこの萩原に雨な降りそね 2098 奥山に棲むちふ鹿の宵さらず妻問ふ萩の散らまく惜しも 2099 白露の置かまく惜しみ秋萩を置きや枯らさむ 2100 秋田刈る 借廬 かりほ の宿りにほふまで咲ける秋萩見れど飽かぬかも 2101 吾 あ が衣 摺 す れるにはあらず 高圓 たかまと の野辺行きしかば萩の摺れるそ 2102 この夕へ秋風吹きぬ白露に争ふ萩の明日咲かむ見む 2103 秋風は涼しくなりぬ馬 並 な めていざ野に行かな萩が花見に 2104 朝顔は朝露負ひて咲くといへど夕影にこそ咲きまさりけれ 2105 春されば霞 隠 がく りて見えざりし秋萩咲けり折りて挿頭さむ 2106 沙額田 さぬかた の野辺の秋萩時しあれば今盛りなり折りて挿頭さむ 2107 ことさらに衣は摺らじをみなへし佐紀野の萩ににほひて居らむ 2108 秋風は萩が花散らまく惜しみ競ひ立ち見む 2109 我が屋戸の萩の 末 うれ 長し秋風の吹きなむ時に咲かむと思ひて 2110 人皆は萩を秋と言ふよし 吾 あれ は尾花が末を秋とは言はむ 2111 玉づさの君が使の手折りけるこの秋萩は見れど飽かぬかも 2112 我が屋戸に咲ける秋萩常しあらば 吾 あ が待つ人に見せましものを 2113 出で見れば屋戸の 早萩 わさはぎ 咲きにけるかも 2114 我が屋戸に植ゑ 生 お ほしたる秋萩を誰か 標 しめ さす 吾 あれ に知らえず 2115 手に取れば袖さへにほふをみなへしこの白露に散らまく惜しも 2116 白露に争ひかねて咲ける萩散らば惜しけむ雨な降りそね 2117 乙女らに 行相 ゆきあひ の 早稲 わせ を刈る時になりにけらしも萩が花咲く 2118 朝霧の棚引く小野の萩が花今か散るらむいまだ飽かなくに 2119 恋しくは形見にせよと我が背子が植ゑし秋萩花咲きにけり 2120 秋萩に恋尽くさじと思へどもしゑや 惜 あたら しまた逢はめやも 2121 秋風は日に 異 け に吹きぬ高圓の野辺の秋萩散らまく惜しも 2122 大夫の心は無しに秋萩の恋にのみやもなづみてありなむ 2123 吾 あ が待ちし秋は来たりぬ然れども萩が花そもいまだ咲かずける 2124 見まく欲り 吾 あ が待ち恋ひし秋萩は枝もしみみに花咲きにけり 2125 春日野の萩し散りなば 朝東風 あさごち の風にたぐひてここに散り 来 こ ね 2126 秋萩は雁に逢はじと言へればか声を聞きては花に散りぬる 2127 秋さらば妹に見せむと植ゑし萩露霜負ひて散りにけるかも 雁を詠める 2128 秋風に大和へ越ゆる雁がねはいや遠ざかる雲隠りつつ 2129 明闇 あけぐれ の朝霧隠り鳴きて行く雁は 吾 あ が恋ふ妹に告げこそ 2130 我が屋戸に鳴きし雁がね雲のうへに今宵鳴くなり国へかも行く 2131 さ牡鹿の妻問ふ時に月をよみ雁が 音 ね 聞こゆ今し来らしも 2132 天雲のよそに雁が音聞きしよりはだれ霜降り寒しこの夜は 2133 秋の田の 吾 あ が刈りばかの過ぎぬれば雁が音聞こゆ冬かたまけて 2134 葦辺なる荻の葉さやぎ秋風の吹き来るなべに雁鳴き渡る 2135 押し照る難波堀江の葦辺には雁寝たるらし霜の降らくに 2136 秋風に山飛び越ゆる雁がねの声遠ざかる雲隠るらし 2137 朝 つと にゆく雁の鳴く 音 ね は我がごとく物思へかも声の悲しき 2138 鶴 たづ が音の今朝鳴くなべに雁が音はいづくさしてか雲隠るらむ 2139 ぬば玉の夜渡る雁はおほほしく幾夜を経てか己が名を 告 の る 2140 あら玉の年の経ゆけば 率 あども ふと夜渡る 吾 あれ を問ふ人や誰 鹿鳴 しか を詠める 2141 この頃の秋の 朝明 あさけ に霧隠り妻呼ぶ鹿の声のさやけさ 2142 さ牡鹿の妻ととのふと鳴く声の至らむ極み靡け萩原 2143 君に恋ひうらぶれ居れば 敷 しき の野の秋萩しぬぎさ牡鹿鳴くも 2144 雁は来ぬ萩は散りぬとさ牡鹿の鳴くなる声もうらぶれにけり 2145 秋萩の恋も尽きねばさ牡鹿の声い継ぎい継ぎ恋こそまされ 2146 山近く家や居るべきさ牡鹿の声を聞きつつい寝かてぬかも 2147 山の 辺 べ にい行く 猟夫 さつを は多かれど山にも野にもさ牡鹿鳴くも 2148 あしひきの山より 来 き せばさ牡鹿の妻呼ぶ声を聞かましものを 2149 山辺 やまへ には猟夫のねらひ 恐 かしこ けど牡鹿鳴くなり妻の目を 欲 ほ り 2150 秋萩の散りぬるを見ていふかしみ妻恋すらしさ牡鹿鳴くも 2151 山遠きさ牡鹿の妻呼ぶ声は乏しくもあるか 2152 秋萩の散りて過ぎなばさ牡鹿は侘び鳴きせむな見ねば乏しみ 2153 秋萩の咲きたる野辺はさ牡鹿ぞ露を分けつつ妻問しける 2154 など鹿の侘び鳴きすなるけだしくも秋野の萩や繁く散るらむ 2155 秋萩の咲きたる野辺にさ牡鹿は散らまく惜しみ鳴きぬるものを 2156 あしひきの山の 常蔭 とかげ に鳴く鹿の声聞かすやも山田 守 も らす子 蝉 ひぐらし を詠める 2157 夕影に来鳴くひぐらしここだくも日ごとに聞けど飽かぬ声かも 蟋 こほろぎ を詠める 2158 秋風の寒く吹くなべ我が屋戸の浅茅が本に蟋蟀鳴くも 2159 蔭草の生ひたる屋戸の夕影に鳴く蟋蟀は聞けど飽かぬかも 2160 庭草にむら雨降りて蟋蟀の鳴く声聞けば秋づきにけり 蝦 かはづ を詠める 2161 み吉野の磯もとさらず鳴くかはづうべも鳴きけり川をさやけみ 2162 神奈備の山下響み行く水にかはづ鳴くなり秋と言はむとや 2163 草枕旅に物 思 も ひ 吾 あ が聞けば夕かたまけて鳴くかはづかも 2164 瀬を早み落ちたぎちたる白波にかはづ鳴くなり朝宵ごとに 2165 上つ瀬にかはづ妻呼ぶ夕されば衣手寒み妻 枕 ま かむとか 鳥を詠める 2166 妹が手を 取石 とろし の池の波の間よ鳥が音 異 け に鳴く秋過ぎぬらし 2167 秋の野の尾花が末に鳴く百舌の声聞くらむか 露を詠める 2168 秋萩に置ける白露朝な 朝 さ な玉とぞ見ゆる置ける白露 2169 夕立の雨降るごとに春日野の尾花が上の白露思ほゆ 2170 秋萩の枝もとををに露霜置き寒くも時はなりにけるかも 2171 白露と秋の萩とは恋ひ乱り 別 わ くことかたき 吾 あ が心かも 2172 我が屋戸の尾花押しなべ置く露に 手 た 触れ我妹子散らまくも見む 2173 白露を取らば 消 け ぬべしいざ子ども露に 競 きほ ひて萩の遊びせむ 2174 秋田刈る 借廬 かりほ を作り 吾 あ が居れば衣手寒く露ぞ置きにける 2175 この頃の秋風寒し萩が花散らす白露置きにけらしも 2176 秋田刈る白露は置く穂田なしと告げに来ぬらし 山を詠める 2177 春は萌え夏は緑に紅のまだらに見ゆる秋の山かも 黄葉 もみち を詠める 2178 妻籠る矢野の神山露霜ににほひそめたり散らまく惜しも 2179 朝露ににほひそめたる秋山に時雨な降りそありわたるがね 右ノ二首ハ、柿本朝臣人麿ノ歌集ニ出ヅ。 2180 九月 ながつき のしぐれの雨に濡れとほり春日の山は色づきにけり 2181 雁が音の寒き朝明の露ならし春日の山をもみたすものは 2182 このごろの 暁露 あかときつゆ に我が屋戸の萩の下葉は色づきにけり 2183 雁がねは今は来鳴きぬ 吾 あ が待ちし黄葉早継げ待たば苦しも 2184 秋山をゆめ人懸くな忘れにしそのもみち葉の思ほゆらくに 2185 大坂を 吾 あ が越え来れば二上にもみち葉流る時雨降りつつ 2186 秋されば置く白露に我が門の浅茅が 末葉 うらば 色づきにけり 2187 妹が袖朝露ににほふ黄葉の散らまく惜しも 2188 もみち葉のにほひは繁し然れども妻梨の木を手折り挿頭さむ 2189 露霜の寒き夕への秋風にもみちにけりも妻梨の木は 2190 我が門の浅茅色づく 吉隠 よなばり の 浪柴 なみしば の野の黄葉散るらし 2191 雁が音を聞きつるなべに高圓の野の 上 へ の草ぞ色づきにける 2192 我が背子が白妙衣ゆき触ればにほひぬべくも 黄変 もみ つ山かも 2193 秋風の日に 異 け に吹けば水茎の岡の木の葉も色づきにけり 2194 雁がねの来鳴きしなべに 韓衣 からころも 龍田の山はもみちそめたり 2195 雁がねの声聞くなべに明日よりは春日の山はもみちそめなむ 2196 しぐれの雨間なくし降れば真木の葉も争ひかねて色づきにけり 2197 いちしろく時雨の雨は降らなくに 大城 おほき の山は色づきにけり 2198 風吹けば黄葉散りつつすくなくも清からなくに 2199 物 思 も ふと隠ろひ居りて今日見れば春日の山は色づきにけり 2200 九月の白露負ひてあしひきの山のもみちむ見まくしもよけむ 2201 妹がりと馬に鞍置きて生駒山うち越え来れば黄葉散りつつ 2202 黄葉する時になるらし桂の枝の色づく見れば 2203 霜は置くらし高圓の野山づかさの色づく見れば 2204 秋風の日に異に吹けば露しげみ萩が下葉は色づきにけり 2205 秋萩の下葉もみちぬ荒玉の月の経ぬれば風をいたみかも 2206 真澄鏡 まそかがみ 南淵山 みなふちやま は今日もかも白露置きて黄葉散るらむ 2207 我が屋戸の浅茅色づく吉隠の夏身の上に時雨降るらし 2208 雁がねの寒く鳴きしよ水茎の岡の葛葉は色づきにけり 2209 秋萩の下葉の黄葉花に継ぎ時過ぎゆかば後恋ひむかも 2210 明日香川もみち葉ながる葛城の山の木の葉は今し散るらし 2211 妹が紐龍田山今こそ黄葉はじめたりけれ 2212 雁がねの春日なる三笠の山は色づきにけり 2213 この頃の暁露に我が屋戸の秋の萩原色づきにけり 2214 夕されば雁が越えゆく龍田山しぐれに競ひ色づきにけり 2215 さ夜更けて時雨な降りそ秋萩の本葉の黄葉散らまく惜しも 2216 故郷の初もみち葉を手折り持ちて今日そ 吾 あ が来し見ぬ人のため 2217 君が家のもみち葉早く散りにしは時雨の雨に濡れにけらしも 2218 一年にふたたび行かぬ秋山を心に飽かず過ぐしつるかも 水田 こなた を詠める 2219 あしひきの山田作る子 秀 ひ でずとも 縄 しめ だに延へよ 守 も ると知るがね 2220 さ牡鹿の妻呼ぶ山の岡辺なる 早稲田 わさだ は刈らじ霜は降るとも 2221 我が門に 禁 も る田を見れば佐保の内の秋萩すすき思ほゆるかも 河を詠める 2222 夕さらずかはづ鳴くなる三輪川の清き瀬の 音 と を聞かくしよしも 月を詠める 2223 天の海に月の船浮け桂楫懸けて榜ぐ見ゆ月人壮士 2224 この夜らはさ夜更けぬらし雁が音の聞こゆる空よ月立ち渡る 2225 我が背子が挿頭の萩に置く露をさやかに見よと月は照るらし 2226 心なき秋の月夜の物 思 も ふと 寝 い の寝らえぬに照りつつもとな 2227 思はぬにしぐれの雨は降りたれど天雲晴れて 月夜 つくよ さやけし 2228 萩が花咲きのををりを見よとかも月夜の清き恋まさらくに 2229 白露を玉になしたる 九月 ながつき の有明の月夜見れど飽かぬかも 風を詠める 2230 恋ひつつも稲葉かき分け家居れば乏しくもあらず秋の夕風 2231 萩の花咲きたる野辺にひぐらしの鳴くなるなべに秋の風吹く 2232 秋山の木の葉もいまだもみちねば今朝吹く風は霜も置きぬべく 芳 たけ を詠める 2233 高圓のこの峰も 狭 せ に笠立てて満ち盛りなる秋の香のよさ 雨を詠める 2234 一日には千重しくしくに 吾 あ が恋ふる妹があたりに 右ノ一首ハ、柿本朝臣人麿ノ歌集ニ出ヅ。 2235 秋田刈る旅の 廬 いほり に時雨ふり 吾 あ が袖濡れぬ干す人なしに 2236 玉たすき懸けぬ時なき 吾 あ が恋を時雨し降らば濡れつつも行かむ 2237 もみち葉を散らす時雨の降るなべに独りし 寝 ぬ れば 霜を詠める 2238 天 あま 飛ぶや雁の翼の覆ひ羽のいづく漏りてか霜の降りけむ 秋の 相聞 したしみうた 2239 秋山のしたびが下に鳴く鳥の声だに聞かば何か嘆かむ 2240 誰 た そ彼と 吾 あれ をな問ひそ九月の露に濡れつつ君待つ 吾 あれ を 2241 秋の夜の霧立ちわたりおほほしく 夢 いめ にぞ見つる妹が姿を 2242 秋の野の尾花が 末 うれ の心は妹に寄りにけるかも 2243 秋山に霜降り覆ひ木の葉散り年は行くとも 吾 あれ 忘れめや 右ノ五首ハ、柿本朝臣人麿ノ歌集ニ出ヅ。 水田 こなた に寄す 2244 住吉の岸を田に墾り蒔きし稲逢はぬ君かも 2245 太刀の 後 しり 玉纒く田居にいつまでか妹を相見ず家恋ひ居らむ 2246 秋の田の穂の 上 へ に置ける白露の消ぬべく 吾 あれ は思ほゆるかも 2247 秋の田の穂向きの寄れる片寄りに 吾 あれ は物 思 も ふつれなきものを 2248 秋田刈る借廬を作り廬らしてあるらむ君を見むよしもがも 2249 鶴 たづ が音の聞こゆる田居に廬りして我旅なりと妹に告げこそ 2250 春霞たなびく田居に秋田刈るまで思はしむらく 2251 橘を守部の里の門田早稲刈る時過ぎぬ来じとすらしも 露に寄す 2252 秋萩の咲き散る野辺の夕露に濡れつつ来ませ夜は更けぬとも 2253 色 付 づ かふ秋の露霜な降りそね妹が手本をまかぬ今宵は 2254 秋萩の上に置きたる白露の 消 け かもしなまし恋ひつつあらずは 2255 我が屋戸の秋萩の 上 へ に置く露のいちしろくしも 吾 あれ 恋ひめやも 2256 秋の穂をしぬに押しなべ置く露の消かもしなまし恋ひつつあらずは 2257 露霜に衣手濡れて今だにも妹がり行かな夜は更けぬとも 2258 秋萩の枝もとををに置く露の消かもしなまし恋ひつつあらずは 2259 秋萩の上に白露置くごとに見つつぞ偲ふ君が姿を 風に寄す 2260 我妹子は 衣 きぬ にあらなむ秋風の寒きこの頃下に着ましを 2261 泊瀬風いつまでか 衣 ころも 片敷き 吾 あ が独り寝む 雨に寄す 2262 秋萩を散らす 長雨 ながめ の降る頃は独り起き居て恋ふる夜ぞ多き 2263 九月のしぐれの雨の 山霧 やまきり のいふせき 吾 あ が胸誰を見ばやまむ 蟋蟀に寄す 2310 蟋蟀の 吾 あ が床の辺に鳴きつつもとな起き居つつ君に恋ふるにい寝かてなくに 旋頭歌 2264 蟋蟀の待ち歓べる秋の夜を 寝 ぬ る 験 しるし なし枕と 吾 あれ は 蝦 かはづ に寄す 2265 朝霞 飼屋 かひや が下に鳴くかはづ声だに聞かば 吾 あれ 恋ひめやも 雁に寄す 2266 出でて 去 い なば天飛ぶ雁の泣きぬべみ今日今日と言ふに年ぞ経にける 鹿に寄す 2267 さ牡鹿の朝伏す小野の草若み隠ろひかねて人に知らゆな 2268 さ牡鹿の小野の 草伏 くさふし いちしろく 吾 あ が問はなくに人の知れらく 鶴 たづ に寄す 2269 この夜らの暁くだち鳴く 鶴 たづ の思ひは過ぎず恋こそまされ 草に寄す 2311 旗すすき穂には咲き出ぬ恋を 吾 あ がする 玉蜻 かぎろひ のただ一目のみ見し人ゆゑに 旋頭歌 2270 道の辺の尾花が下の思ひ草今さらさらに何か思はむ 花に寄す 2271 草深み蟋蟀すだき鳴く屋戸の萩見に君はいつか来まさむ 2272 秋づけば 水草 みくさ の花のあえぬがに思へど知らじ 直 ただ に逢はざれば 2273 何すとか君をいとはむ秋萩のその初花の嬉しきものを 2274 輾轉 こいまろ び恋ひは死ぬともいちしろく色には出でじ朝顔の花 2275 言に出でて云はば 忌々 ゆゆ しみ朝顔の穂には咲き出ぬ恋をするかも 2276 雁がねの初声聞きて咲き出たる屋戸の秋萩見に 来 こ 我が背子 2277 さ牡鹿の 入野 いりぬ のすすき初尾花いつしか妹が 2278 恋ふる日の 日 け 長くしあれば 韓藍 からゐ の花の色に出にけり 2279 我が里に今咲く花のをみなへし 堪 あ へぬ心になほ恋ひにけり 2280 萩が花咲けるを見れば君に逢はずまことも久になりにけるかも 2281 朝露に咲きすさびたる月草の日たくるなべに消ぬべく思ほゆ 2282 長き夜を君に恋ひつつ生けらずは咲きて散りにし花ならましを 2283 我妹子に逢坂山の旗すすき穂には咲き出ず恋ひ渡るかも 2284 いささめに今も見が欲し秋萩の妹が姿を 2285 秋萩の花野のすすき穂には出でず 吾 あ が恋ひ渡る 隠 こも り妻はも 2286 我が屋戸に咲きし秋萩散り過ぎて実になるまでに君に逢はぬかも 2287 我が屋戸の萩咲きにけり散らぬ間に早来て見ませ奈良の里人 2288 石橋 いはばし の間々に生ひたる貌花の花にしありけり有りつつ見れば 2289 藤原の古りにし里の秋萩は咲きて散りにき君待ちかねて 2290 秋萩を散り過ぎぬべみ手折り持ち見れども 寂 さぶ し君にしあらねば 2291 朝 あした 咲き夕へは 消 け ぬる月草の消ぬべき恋も 吾 あれ はするかも 2292 秋津野 あきづぬ の尾花刈り添へ秋萩の花を葺かさね君が借廬に 2293 咲きぬとも知らずしあらば 黙 もだ もあらむこの秋萩を見せつつもとな 山に寄す 2294 秋されば雁飛び越ゆる龍田山立ちても居ても君をしぞ 思 も ふ 黄葉に寄す 2295 我が屋戸の 葛葉 くずば 日に異に色づきぬ来まさぬ君は何心ぞも 2296 あしひきの山さな 葛 かづら もみつまで妹に逢はずや 吾 あ が恋ひ居らむ 2297 もみち葉の過ぎかてぬ子を人妻と見つつやあらむ恋しきものを 月に寄す 2298 君に恋ひ 萎 しな えうらぶれ 吾 あ が居れば秋風吹きて月かたぶきぬ 2299 秋の夜の月かも君は雲隠りしましも見ねばここだ恋しき 2300 九月の有明の月夜ありつつも君が来まさば 吾 あれ 恋ひめやも 夜に寄す 2301 よしゑやし恋ひじとすれど秋風の寒く吹く夜は君をしぞ 思 も ふ 2302 あな心無しと思ふらむ秋の長夜を 2303 秋の夜を長しと言へど積もりにし恋を尽せば短かりけり 衣に寄す 2304 秋つ 葉 は ににほへる衣 吾 あれ は着じ君に 奉 まつ らば夜も着むがね 問答 とひこたへのうた 2305 旅にすら紐解くものを言繁み 丸寝 まろね 吾 あ がする長きこの夜を 2306 しぐれ降る 暁月夜 あかときつくよ 紐解かず恋ふらむ君と居らましものを 2307 もみち葉に置く白露の言の繁けく 2308 雨降れば 激 たぎ つ山川岩に触り君が砕かむ心は持たじ 譬喩歌 たとへうた 2309 祝部 はふり らが 斎 いは ふ社のもみち葉も 標縄 しめなは 越えて散るちふものを 冬の 雑歌 くさぐさのうた 2312 我が袖に霰たばしる巻き隠し 消 け たずてあらむ妹が見むため 2313 あしひきの山かも高き巻向の崖の小松にみ雪降りけり 2314 巻向の桧原もいまだ雲居ねば小松が 末 うれ ゆ沫雪流る 2315 あしひきの 山道 やまぢ も知らず 白橿 しらかし の枝もとををに雪の降れれば 右ノ四首ハ、柿本朝臣人麿ノ歌集ニ出ヅ。 但シ件ノ一首、或ル本ニ云ク、三方沙弥ガ作ナリト。 雪を詠める 2316 奈良山の嶺すら 霧 きら ふうべしこそ 籬 まがき が下の雪は 消 け ずけれ 2317 こと降らば袖さへ濡れて通るべく降りなむ雪の空に消につつ 2318 夜を寒み 朝門 あさと を開き出で見れば庭もはだらにみ雪降りたり 2319 夕されば 高圓 たかまと の山の木ごとに雪ぞ降りける 2320 我が袖に降りつる雪も流れゆきて妹が手本にい行き触れぬか 2321 沫雪は今日はな降りそ白妙の人もあらなくに 2322 はなはだも降らぬ雪ゆゑここだくも 天 あま のみ空は曇らひにつつ 2323 我が背子を今か今かと出で見れば沫雪降れり庭もほどろに 2324 あしひきの山に白きは我が屋戸に昨日の夕へ降りし雪かも 花を詠める 2325 誰が園の梅の花そも久かたの清き月夜にここだ散りくる 2326 梅の花まづ咲く枝を手折りてば 苞 つと と名付けてよそへてむかも 2327 誰が園の梅にかありけむここだくも咲きにけるかも見が欲るまでに 2328 来て見べき人もあらなくに 我家 わぎへ なる梅の初花散りぬともよし 2329 雪寒み咲きには咲かず梅の花よしこの頃はさてもあるがね 露を詠める 2330 妹がため 末枝 ほつえ の梅を手折るとは 下枝 しづえ の露に濡れにけるかも 黄葉を詠める 2331 八田 やた の野の浅茅色づく 有乳山 あらちやま 峰の沫雪寒く降るらし 月を詠める 2332 さ夜更けば出で来む月を高山の峰の白雲隠すらむかも 冬の 相聞 したしみうた 2333 降る雪の空に消ぬべく恋ふれども逢ふよしもなく月ぞ経にける 2334 沫雪は千重に降りしけ恋ひしくの 日 け 長き 吾 あれ は見つつ偲はむ 右ノ二首ハ、柿本朝臣人麿ノ歌集ニ出ヅ。 露に寄す 2335 梅の下枝に置く露の消ぬべく妹に恋ふるこの頃 霜に寄す 2336 はなはだも夜更けてな行き道の辺のゆ笹がうへに霜の降る夜を 雪に寄す 2337 笹が葉にはだれ降り覆ひ消なばかも忘れむと言へばまして思ほゆ 2338 霰降りいたく風吹き寒き夜や波多野に今宵 吾 あ が独り寝む 2339 吉隠 よなばり の野木に降り覆ふ白雪のいちしろくしも恋ひむ 吾 あれ かも 2340 一目見し人に恋ふらく 天霧 あまぎら し降りくる雪の消ぬべく思ほゆ 2341 思ひ出づる時はすべなみ豊国の由布山雪の消ぬべく思ほゆ 2342 夢 いめ のごと君を相見て天霧し降りくる雪の消ぬべく思ほゆ 2343 我が背子が言うつくしみ出でてゆかば 裳引 もひき 著 しる けむ雪な降りそね 2344 梅の花それとも見えず降る雪のいちしろけむな 間使 まつかひ 遣らば 2345 天霧ひ降り来る雪の消なめども君に逢はむと永らへわたる 2346 窺 うか ねらふ 跡見山 とみやま 雪のいちしろく恋ひは妹が名人知らむかも 2347 海人小船 あまをぶね 泊瀬の山に降る雪の 日 け 長く恋ひし君が 音 おと ぞする 2348 和射見 わざみ の峰ゆき過ぎて降る雪の申せその子に 花に寄す 2349 我が屋戸に咲きたる梅を月夜よみ宵々見せむ君をこそ待て 夜に寄す 2350 あしひきの吹かねども君なき宵はかねて寒しも 更新日:平成12-08-15 最終更新日:平成20-01-21.

次の

【基本は忘れろ!!】腕は振るべきか、振らないべきか? 振るようにした方がいい

振る べき か 降ら ざる

質問者さまとは逆に、私はどうやら晴れ女なんです。 もしかして・・・と思いつつも半信半疑だったのですが、実は今年に入っても傘をさした記憶はほとんどないのです。。 降水確率が高くても傘もって行きません。 私が外にいるとやんでしまうので傘を持ち歩いても差す機会が来ないのです。 例えば電車の中から「あー降ってる。 傘買うかタクシーかなー」と思いつつ電車降りていざ改札の外へでると・・・・「雨がやんでる」のです。 また、先日NYへ行ったのですがクイーンズで洪水が起きるくらいずっと毎日雨だったらしいのですが、 私が到着して数時間したら嘘のように雨がやみ、太陽がギラギラでてきました。 この現象には地元の友人も「嘘みたい・・何日も太陽見てなかったのに!!」と驚いてました。 このように、私の場合は晴れるパターンですが、周りには雨に降られやすいパターンの人もいて その話でよく盛り上がります(^^ でも雨男さん雨女さんもそのことを普通に受け入れてるようで、かばんには常に折りたたみの傘を持参してるようです。 さすがー!!と感心しました。 でも本人たちはそんなに嫌がってもいないようでむしろ楽しんでるようです。 ある人が言っていたのが、これはマーフィーの法則の一種だとのことです。 降られるという潜在意識があるから自然に雨が降るタイミングと合ってしまうし、 晴れるのだという潜在意識があれば自然と晴れる日を選ぶように意識が働く・・とのこと。 なんだか解るよな解らないような・・・ あまり回答になってなくてスミマセン。 でも何らかの偶然であることは確かですよね、きっと。 A ベストアンサー >個人的には、雨女、雨男共に、そして晴れ男晴れ女もまた >存在していると感じているのですが >それは科学的に証明できるのでしょうか? 「現在の主流科学」の論理では、証明できません。 証明方法が、このような個別的一回的事象には、対応していないからです。 仮に貴方が、記録を取っていて、貴方が何かのイヴェントに出席すると、すべて、または非常に多くのケースで、雨が降り、しかも、その日は、天気予報では雨が降らないことになっていたという、「結果記録」をまとめても、これだけでは、偶然が重なっているというだけの話です。 つまり、現代の科学では、貴方がイヴェントに参加することと、雨が降ることのあいだの「関係性」を説明する法則や理論がないのです。 雨乞師が天に雨を祈ると、雨が降って来たというのと同じで、「呪術」の話になります。 >それは科学的に証明できるのでしょうか? >だとすればどんな原因で起こりうるのでしょうか?? 「因果律」を中心とする現代の主流科学の世界観では、「原因」はありません。 というか、偶然の重なりだという風に解釈されます。 または、貴方の錯覚だということになります。 錯覚でないと主張できるのは、上で述べた、「結果記録」を作って、天気予報が、晴れだと言っていたのに、貴方の出席で、雨になった事例を多数、確実に記録しなければなりません。 こういう記録があって、貴方が出席すると、100件の会合やイヴェントで、そのなかの80件も、晴れだという天気予報であったのに、貴方の出席で、雨になったという場合、確かに、貴方の出席と雨が降ることのあいだには、「何か関係がある」と考えざるを得ません。 しかし、現代の主流科学では、「貴方の出席」という出来事と、「雨が降った」という出来事、現象のあいだを結ぶ合理的「因果関係」が何もないので、「偶然が多数重なっている」という答えになります。 しかし、世界の出来事や現象の生起は、科学の「因果律」だけで決まっているのではないという考えがあります。 これもまた「合理的科学」主張です。 ただ、現代の科学の基準とは、別の基準を採択しています。 心理学者カール・ユングは、呪術や占いが何故当たるのか、という合理的説明のため、「共時性」という「因果性」を補完する世界の現象展開原理を提唱しました。 何かのイヴェントがあって、貴方が出席するというのは、「個別の貴方という人が、個別のあるイヴェントに出席する」ということで、これは、個別的現象です。 世界は、ある意味、こういう個別的できごとの配置が集まって出来あがっているという見方もできるのです。 この貴方がイヴェントに出席するというできごとの配置と、その日に雨が降るかどうか、天候はどうなるのかの関係を、「布置」という概念で、ユング心理学では、捉えます。 現代の物理学や気象学では、雨が降るのは、水蒸気を多数含んだ大気、つまり雲を含む気団が、ある地域の上空に訪れ、そこで、大気の温度変化、圧力変化などで、雲のなかの水蒸気が、水滴として結露して、次第に大きくなって行き、これが雨滴となって落下するのが、雨が降ることです。 この気象過程と、貴方がイヴェントに出席するかしないかは、何の「因果関係」もありません。 しかし、世界を現象やできごとの配置で眺めると、貴方が、何かのイヴェントに出席するということは、世界のなかで「一つの布置」で、これが、「雨が降る」という気象現象布置と、「布置の対応」で関係を持っていた場合、この「布置の対応」によって、貴方がイヴェントに出席すると、雨が降るという現象が起こるということが、科学的に説明付けられます。 実は、「雨が降る」という現象布置が、「貴方がイヴェントに出席する」というできごとを起こしているのだとも言えるのです。 貴方が都合があってイヴェントに出席しなかったとき、雨が降らなかったという場合は、「雨が降らない」ので、それが、貴方がイヴェントに出席できないという布置を呼び出したとも言えるのです。 「布置」というのは、パターンや現象が、「対応」するということで、「貴方がイヴェントに出席する」という事象は、「雨が降る」という事象と対応して、世界のなかで、布置構成があるとも考えられるのです。 ただし、貴方が出席したので、雨が降ったという事象が、「同時的」に起こった場合、これは、ユングの「共時性」による「布置の対応」の場合もあれば、偶然に雨が降った場合もあり、その区別は、たいへん難しいです。 すべてが、偶然だったのかも知れません。 しかし、占いや、占星術や、雨乞いが、根拠のない「迷信」ではなく、多くは、偶然であうが、なかには、そうでない、「共時性」による、つまり「対応の原理」による、必然であるという場合もあると考えられます。 「雨女」というのは、貴方が、錯覚しているか、偶然の一致を、そう解釈しているだけなのかも知れません。 しかし、貴方には、「呪術師の才能」同様に、「雨女の才能」があって、その才能の大きさに応じて、雨が降るという事象と、貴方の行動が、布置関係で結ばれていて、時に、雨が降るのかも知れません。 これが、一応、想定される、科学的な雨女の説明、または理由です。 「共時性」や「布置」、「対応の原理」については、以下の質問の回答に、また説明を書いています。 >No. goo. php3? goo. php3? こういう予測を無意識で行って、今日は一見天気のようだけど、どうも雨が降るようだという時、出席する気になり、雨が降らないようだと思うと欠席を選ぶ人の場合、これは、天気予報の結果で、出欠を決めているのと同じで、その当日のその地域の予報ですから、的中率が高いのです。 こういう意味での「雨女・雨男」というのは、布置とか、共時性とはまた別です。 これは、「因果性」に基づき、雨の降りそうな場合、出席を選んでいるので、出席すると雨が降るのです。 あの人が出席したときは雨が降り、欠席すると、天気がよいという場合、こういう理由である場合もあります。 こういう場合も、このような意味で、「雨女・雨男」かも知れません)。 goo. php3? goo. php3? 証明方法が、このような個別的一回的事象には、対応していないからです。 仮に貴方が、記録を取っていて、貴方が何かのイヴェントに出席すると、すべて、または非常に多くのケースで、雨が降り、しかも、その日は、天気予報では雨が降らないことになっていたという、「結果記録」をまとめても、これだけでは... Q 人に嫌なことうを言われた時や、ばかにされた事を言われたときなど、頭にわくるのですが、何も言い返すことができず、冗談にしたり、聞かない振りをしたり、話を変えたりしてしまいます。 このような、態度でいるとあの子には何を言っても平気と思われてしまうみたいで、他の人にはひどいことやひどい行動をとらないのに、私にだけなんで!! と、思うことがよくあります。 もともと、短気のせいか何か言われると頭にはくるのですが、なにもうまく言い返す言葉がみつからず、それなら怒ればいいのですがそんな勇気もなく・・・。 特に会社ではしったぱのせいか何かわからない事があった時に、教えてもらえなくなると、と、思ってしまうと、頭にくるようなことを言われても、何も言葉が思いつかず黙ってしまうことが多いいです。 そのせいか、会社ではなめられっぱなしです。 こんな時、その人との仲が終わらず、うまく言い返す方法はないでしょうか? A ベストアンサー 私は、人のことをバカにしたような言葉を吐く人を信用してないし、不快です。 ひどいことを言われたときは頭にカッと血が上って、言葉を無くしてしまいます。 なめた口をきかれたときははっきりと「あんたと話してると気分悪くなるから黙っててくれない!!」と言ってしまいますし、明らかに態度と顔にでてしまいます。 そういう私ですから、広く浅いつきあいの友達はいません。 もっと密で私を解ってくれる人が友人としてつきあってくれます。 態度に出すことによって、「あいつは下手に何か言うとかみついてくるからな」と周りの人は私に対してバカにした態度はとらなくなりました。 >その人との中が終わらず、うまく言い返す方法は・・・ うまく言い返す必要はありませんよ。 それよりあなたがいかに不愉快かを、態度でも顔でも「うるさい」の一言でもいいから示すべきです。 そしてそんなことをあなたに対して言う人との中を終わらせてしまいましょう。 あなたの人生からそんな人たちは一人残らず追い出してしまって下さい。 人に暴言を面白がって吐く人は、信用のかけらも無い人です。 ・・・ちょと興奮してしまいました・・・済みません あなたの曖昧な態度で、相手はあなたの心の傷をかすり傷くらいにしか感じていないのかも。 あなたの本心が分かれば、相手の態度もきっと変わります。 負けないでね。 私は、人のことをバカにしたような言葉を吐く人を信用してないし、不快です。 ひどいことを言われたときは頭にカッと血が上って、言葉を無くしてしまいます。 なめた口をきかれたときははっきりと「あんたと話してると気分悪くなるから黙っててくれない!!」と言ってしまいますし、明らかに態度と顔にでてしまいます。 そういう私ですから、広く浅いつきあいの友達はいません。 もっと密で私を解ってくれる人が友人としてつきあってくれます。 態度に出すことによって、「あいつは下手に何か言うと...

次の