タイワン アリ タケ。 ★Ophiocordyceps ootakii (タイワンアリタケ)

イトヒキミジンアリタケ: 今年の虫草探索記録 SEARCH for Cordyceps

タイワン アリ タケ

注意してご覧ください。 ある種の菌が、アリの体内に侵入したあとで組織全体をむしばんで成長する。 そして宿主であるアリを木に登らせ、小枝を噛ませることで体を固定する。 その驚くべき複雑なメカニズムを、いったいどう理解したらよいのだろう。 そして2019年7月、研究者たちはパズルの1ピースの正しい位置を突き止めた。 菌がどうやってアリに小枝を噛ませるのかを解明したのだ。 その真相は「アリ殺しの菌」というイメージに違わぬ、じつに卑劣なものだった。 筋肉が強制的に収縮状態に タイワンアリタケの胞子がアリの外骨格に付着すると、まず硬い外殻を侵食していく。 そしてやがて、どろどろして栄養豊富な内部に入り込む。 そこで菌糸と呼ばれる管を体中に伸ばし、哀れなアリの筋肉を貫通するネットワークを形成する(このときのアリがどんな気分なのかについては、わたしたちが永遠に解こうと思わない謎かもしれない)。 この菌は想像を絶する方法でアリの行動を操作するのだが、実は脳には侵入しない。 代わりに脳の周囲と、大あごを制御する筋肉のなかで成長する。 これらは噛みつき攻撃の際に使われる部位だ。 ペンシルヴェニアの研究チームは走査型電子顕微鏡を使って、死にかけたアリの大顎の筋肉を観察した。 分子生物学者のコリーン・マンゴールドは、「観察できたのは、(菌によって)筋肉が強制的に収縮状態にされている様子でした」と説明する。 は、学術誌『Journal of Experimental Biology(実験生物学ジャーナル)』に掲載されている。 走査型電子顕微鏡で観察した、菌糸に覆われたアリの筋肉。 細胞間の結節点に注目してほしい。 PHOTOGRAPH BY COLLEEN MANGOLD 興味深いことに、菌は筋繊維の周囲のさやのような部分(筋繊維鞘)を破壊していたが、神経筋接合部は無傷だった。 後者は、ニューロンが筋肉を動かすためのコミュニケーションが行われる部分だ。 「神経筋接合部が残っていることから、感染後も脳からの中枢神経系信号はおそらく伝達されていて、それが筋収縮を引き起こすと考えられます」と、マンゴールドは言う。 つまり、菌は筋肉に侵入して有無を言わせず破壊するが、脳からのコミュニケーションを遮断しているわけではない。 湧き上がる新たな疑問 ここからが重要だ。 菌は筋肉を強制的に最大限に収縮させ、筋繊維を破壊することで二度と大あごを開けなくしているようなのだ。 マンゴールドの仮説によれば、「アリが目的地に到着して小枝を噛んだ瞬間、菌が同時に何らかの物質を放出して筋肉の強制収縮をもたらし、死のひと噛みになる」というわけだ。 「これが何なのか、さっぱりわかりません」と、マンゴールドは言う。 「菌に由来するのか、宿主に由来するのかさえ不明ですが、大あごの筋肉の収縮を引き起こすことに関係しているのかもしれません」 さらに不可解なことに、これらの粒子は白きょう病菌(Beauveria bassiana)という、宿主をゾンビにこそしないが同じく筋繊維鞘を破壊する寄生菌に感染したアリにも見られるものだった。 どちらの菌にとっても、宿主の筋繊維鞘を破壊することは、筋肉内部の真菌コミュニティに栄養を届ける突破口を開くうえで役立っている可能性がある。 そしてタイワンアリタケの場合、筋繊維を露出させることで、アリの操作に必要な何らかの毒を注入しやすくなるのだろう。 こうして研究者がゾンビアリの謎をひとつ解いたが、そのとたんに新たな謎がいくつも現れた。 とはいえ、自分の筋繊維に菌が侵入する感覚を知らずに済むのであれば、わたしたちとしては満足と言えるだろう。

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寄生キノコに感染したハエの頭があまりにもゾンビ化していた(※昆虫出演中)(2017年12月1日)|BIGLOBEニュース

タイワン アリ タケ

実況撮影中にふと隣の木の幹を見た時、妙な物が目に飛び込んで来ました。 和名「糸引微塵蟻茸」。 各種 アリを宿主とする気生型の冬虫夏草です。 ずっと出会いたかったので実況を忘れて大絶叫したのは良い思い出ですね。 本種は主に 木の幹に付くことで知られますが、葉裏や石にも付くそうです。 酷似した種にタイワンアリタケがあり、実際過去に混同されていました。 ですがタイワンは主に沢筋の葉裏に見られ、宿主もチクシトゲアリが大半。 イトヒキの宿主は多岐に渡り、子実体の形状も微妙に違いがあります。 ここで気になったのは宿主が乾燥でしぼんでいること。 凄い違和感でした。 と言うのもタイワンアリタケは多湿環境を好み宿主も萎まないことのです。 この環境は沢も湿地も無くごく普通の里山。 湿度はかなり低いはずです。 この点からタイワンアリタケと比べて本種は 乾燥に強いと思われます。 言うまでもなく 食不適です。 そもそも木に付いてて剥がすのも大変です。 コケが生えたような古い子実体も朽ちずに残っているので驚きました。 その中でも特に新鮮な子実体を発見!結実部に新しさが感じられますね。 このように3つも形成されることは本種では稀ですからね? 結実部は 黒色で子嚢殻は埋生。 子嚢殻の先端は少し突出しています。 一応子実体は首折れ型なのですが、結実部が小さくてそう見えませんね。 1本の幹に複数のアリが貼り付いて死んでいます。 この周囲一帯が発生坪のようで、ざっと見ただけで 50株は居ました。 壮絶な光景です。 基本幹に貼り付いているので、こう言う状態だと持ち帰りやすくて助かります。 ストローマは黒褐色ですね。 結実部は真っ黒でタイワンアリタケと比べると暗色で 扁平なのが分かります。 ストローマは長いのに結実部が小さいのでタイワンとはかなり雰囲気が違います。 何を思って最期を迎えたのでしょう。 結実部にツヤがあるのでどうやら未熟で 子嚢殻が形成途中みたいですね。 コイツらは持ち帰って追培養すれば胞子の観察ができるかも知れませんね。 にしてもホントに空中湿度が低い場所なのに良く生育できるモノだと関心。 こうして見ると大半が木の幹のオーバーハングした部分に付いていますね。 褐色の菌糸が目立ちます。 やはり宿主は ミカドオオアリで間違い無さそうですね。 なんと 頭だけになったアリから発生していました。 樹皮の端にガッチリ噛み付いているため胴体が落ちても頭が残ったようです。 と言うかこれで本種の菌本体は頭側にあるってのが確信できたって感じです。 アゴの周囲に菌糸が集中していること、胴体が萎んでいることにも合点がいきます。 皆見慣れない姿です。 幹に付いたかなり古い宿主から何やら白い物体が出ていますね・・・。 標本用に採取して持ち帰ります。 ただ本種の不完全世代はハナサナギのようにはならないとの説もあります。 現地では先端部が白くなっているのは別の菌の重複寄生と思ってました。 ただもしかするとコッチが アナモルフかもとのこと。 もうこの里山一帯が発生範囲と考えて良さそうです。 凄い規模ですわコレ。 この範囲でこの密度ならば100単位どろか 1000行ってそうな気がします。 今まではミカドオオアリばかりでしたが初の ムネアカオオアリが宿主です。 やはり大型だからでしょうか?ストローマが複数伸びていてカッコイイです。 クビオレアリタケみたいですが成長点が綺麗な 紫色なのでイトヒキです。 鮮やかな紫色だったストローマも見慣れた褐色に変化して重厚感アップ。 そしてやたら立派だった理由も判明。 これ実は 女王アリだったんですよね。 複数のストローマを出す宿主を観察ててワーカーじゃないと気付きました。 どうもトビムシの住処になっているようで、払っても払ってもわらわらと・・・。 手前のボケている紫色の塊ができ始めの未熟な結実部です。 本種はやはり近縁なタイワンアリタケと比べて 結実部が貧弱な印象ですね。 ストローマの長さだけを見ればイトヒキの方が長いことが多いんですけど。 枯れ行くナラ枯れを残して広葉樹の低木が根こそぎ伐採されたのです。 そのため林内湿度が下がり、イトヒキが付ける程良い木も消え去りました。 ショックを受けて遠く離れた以前から訪れていたフィールドへ行きました。 は? 普通に居るし!何年も通っていたのに今まで気付かなかったとは! どうやらウチの近所では本種はかなり普通種みたいですね。 少し安心です。 かなり環境が破壊されて心配しましたが、何だかんだで元気で安心です。 この木はミカドの墓場となっており、一本の幹に無数の死骸が・・・。 ニイニイゼミの抜け殻が覆い被さっています。 恐らく宿主は年を越していると思われるので、セミは後付のようです。 良い感じの子実体だったので気合い入れました。 撮影している時は気付きませんでしたが、ストローマに トビムシが居ました。 まずは結実部を薄くスライスして 子嚢殻の断面を観察。 みっちり詰まっていた子嚢と側糸が大量に漏れ出してきました。 埋生なので分かりにくいですがちゃんと子嚢殻なんだなと感じたり。 子嚢先端の 肥厚部がハッキリ見えます。 この先端部の厚みは実に冬虫夏草の子嚢だなって感じですね。 タイワンアリタケに比べるとあまり子嚢の先端が尖っていないような。 近縁なタイワンアリタケよりも少し短いのかな? この辺は過去の文献とも食い違う部分もあるようで、今度タイワンも観察しようと思います。 本当は隔壁があるのですが、 未熟なことと私自身の観察技術の低さから確認できませんでした。 染色してから観察すると肥厚部がハッキリ見えて感動しました。 胞子が吹き出すための頂孔も染色によって見えやすくなっています。 試薬ってホント大切ですね。 確かにところどころ 隔壁が見えています。 過去の文献によるとこの隔壁部から二次胞子に分裂するそうですが、不思議とその後 確認されていないみたいです。 確かにこの隔壁の感じは分裂するようなタイプには見えないかも。 この胞子はやや未熟の可能性が高く、次は成熟した胞子で隔壁を数えたいと思います。 Y氏より「 子嚢殻の感じからして未熟」とのご指摘を頂きました。 やはり子嚢殻を潰して観察するのは当たり外れがあるようで、胞子の自然噴出を待つのがベストのようです。 まぁ潰したおかげで子嚢なんかも観察できたのでそれはそれでヨシとし、今回はしっかりと胞子を噴いてもらいました。 空気の流れが生じない容器内に逆さ釣りにして落ちるのを待ちました。 もうこの段階で明らかに前回とは違う結果が出ているのが分かりますね。 何よりも今回は前回全くと言ってよいほど見れなかった隔壁がハッキリ見えています。 隔壁の数にはバラつきがありますが、数えてみると 5個であることが圧倒的に多いようです。 となると6つの細胞から成るワケですが、順当に分裂すれば8個になるので少し足りない感じです。 胞子も痩せてます。 しかし子嚢胞子観察段階ではあの隔壁が分裂するものには見えませんでした。 実際に分裂したと思しきものを観察しても、分裂した部分がどうも切れただけにも見えます。 もしかすると外的要因で切れやすいだけで自然には分裂しないのではないか?と思われました。 狙うは地下生菌だったんですが、這いつくばっていたら発見しました。 コケに隠れていましたがボディが新鮮で光沢があったので気付けました。 しかもこの場所での発見は地味に初。 新発生地発見となりました。 イトヒキは以前からずっと観察していたフィールドが伐採で荒れてしまい絶望に浸っていました。 しかし最近では出そうな環境が少しずつ分かってきた気がします。 梅雨頃になったら急成長するかもですね。 ざっと探しただけでもかなりの数の発生が見られたので、ここは要チェックですね。 そう言えば年末の地下生菌オフにて近縁なタイワンアリタケを見たばかりです。 そのため本種の結実部の 扁平さは凄く体感できました。 別種だと確信できましたね。 そう、不適切場伐採でスカスカになった場所です。 予想通りと言いますか、 残されたコナラはナラ枯れで立ち枯れに変貌。 低木はことごとく伐採されたので、残るのは植林のヒノキ、モウソクチク、そしてアセビやネジキなどの低木。 これでは高湿度を保つことができません。 マジで余計なことしてくれたなと言う感想です。 それでも比較的まだ木が残っている場所を探すと残っていました。 夏を経験して秋以降にどれだけ新規発生があるかをチェックする必要があるかも知れませんね。

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注意してご覧ください。 ある種の菌が、アリの体内に侵入したあとで組織全体をむしばんで成長する。 そして宿主であるアリを木に登らせ、小枝を噛ませることで体を固定する。 その驚くべき複雑なメカニズムを、いったいどう理解したらよいのだろう。 そして2019年7月、研究者たちはパズルの1ピースの正しい位置を突き止めた。 菌がどうやってアリに小枝を噛ませるのかを解明したのだ。 その真相は「アリ殺しの菌」というイメージに違わぬ、じつに卑劣なものだった。 筋肉が強制的に収縮状態に タイワンアリタケの胞子がアリの外骨格に付着すると、まず硬い外殻を侵食していく。 そしてやがて、どろどろして栄養豊富な内部に入り込む。 そこで菌糸と呼ばれる管を体中に伸ばし、哀れなアリの筋肉を貫通するネットワークを形成する(このときのアリがどんな気分なのかについては、わたしたちが永遠に解こうと思わない謎かもしれない)。 この菌は想像を絶する方法でアリの行動を操作するのだが、実は脳には侵入しない。 代わりに脳の周囲と、大あごを制御する筋肉のなかで成長する。 これらは噛みつき攻撃の際に使われる部位だ。 ペンシルヴェニアの研究チームは走査型電子顕微鏡を使って、死にかけたアリの大顎の筋肉を観察した。 分子生物学者のコリーン・マンゴールドは、「観察できたのは、(菌によって)筋肉が強制的に収縮状態にされている様子でした」と説明する。 は、学術誌『Journal of Experimental Biology(実験生物学ジャーナル)』に掲載されている。 走査型電子顕微鏡で観察した、菌糸に覆われたアリの筋肉。 細胞間の結節点に注目してほしい。 PHOTOGRAPH BY COLLEEN MANGOLD 興味深いことに、菌は筋繊維の周囲のさやのような部分(筋繊維鞘)を破壊していたが、神経筋接合部は無傷だった。 後者は、ニューロンが筋肉を動かすためのコミュニケーションが行われる部分だ。 「神経筋接合部が残っていることから、感染後も脳からの中枢神経系信号はおそらく伝達されていて、それが筋収縮を引き起こすと考えられます」と、マンゴールドは言う。 つまり、菌は筋肉に侵入して有無を言わせず破壊するが、脳からのコミュニケーションを遮断しているわけではない。 湧き上がる新たな疑問 ここからが重要だ。 菌は筋肉を強制的に最大限に収縮させ、筋繊維を破壊することで二度と大あごを開けなくしているようなのだ。 マンゴールドの仮説によれば、「アリが目的地に到着して小枝を噛んだ瞬間、菌が同時に何らかの物質を放出して筋肉の強制収縮をもたらし、死のひと噛みになる」というわけだ。 「これが何なのか、さっぱりわかりません」と、マンゴールドは言う。 「菌に由来するのか、宿主に由来するのかさえ不明ですが、大あごの筋肉の収縮を引き起こすことに関係しているのかもしれません」 さらに不可解なことに、これらの粒子は白きょう病菌(Beauveria bassiana)という、宿主をゾンビにこそしないが同じく筋繊維鞘を破壊する寄生菌に感染したアリにも見られるものだった。 どちらの菌にとっても、宿主の筋繊維鞘を破壊することは、筋肉内部の真菌コミュニティに栄養を届ける突破口を開くうえで役立っている可能性がある。 そしてタイワンアリタケの場合、筋繊維を露出させることで、アリの操作に必要な何らかの毒を注入しやすくなるのだろう。 こうして研究者がゾンビアリの謎をひとつ解いたが、そのとたんに新たな謎がいくつも現れた。 とはいえ、自分の筋繊維に菌が侵入する感覚を知らずに済むのであれば、わたしたちとしては満足と言えるだろう。

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