万引き家族 ネタバレ。 映画『万引き家族』のネタバレ感想・考察!家族の定義やあり方、社会問題を学べる作品

映画万引き家族のりんの最後(ラスト)の意味を考察!その後は?

万引き家族 ネタバレ

キャスト&キャラクター紹介 (引用:) 柴田治… リリー・フランキー 東京下町に住み、工事現場の日雇い派遣で働く中年男。 母親 初枝の自宅に家族全員で転がり込む形で生活している。 家族5人を養うにはお金が足りず、息子の祥太と万引きをして生活用品や食品、金目のものなどを手に入れている。 怠け者なのか、万引きした物を売ってお金が手に入ると働くのを嫌がる。 家族はそれなりに大事にしているがモラルが低く、祥太に万引きを教えたり学校にも行かせていない。 (引用:) 柴田信代… 安藤サクラ 治の妻。 クリーニング工場でアルバイトをしている。 勤務中にクリーニングの服のポケットから金目のものが出てきたらこっそり盗む。 治が近所のアパートから拾ってきたユリを家族に加えることを決める。 (引用:) 柴田祥太… 城桧吏 小学校高学年位の男の子。 学校には通っておらず、治と協力して万引きさせられている。 家では押入れの中が祥太の部屋。 「学校は家で勉強できない奴が行くところ」と治に教わったため信じているが、本当は学校に行きたいと思っている。 万引きする前に、両手の人差し指をくるくるして手の甲にキスするおまじないをする。 (引用:) ユリ(北条じゅり、りん)… 佐々木みゆ 両親から虐待を受けている幼女。 ゆりと呼ばれていたのは、ゆりが言った『じゅり』を一家が『ゆり』と聞き間違えていたため。 アパートのベランダに締め出されていた所を治が発見し、放っておけずに連れて帰って家族の一員になった。 心優しい性格で、祥太になついている。 お麩が好き。 柴田亜紀… 松岡茉優 信代の妹。 さやかという源氏名で「JK見学店」という風俗店で働いている。 おばあちゃん子で初枝にだけは何でも話す。 (引用:) 柴田初枝… 樹木希林 老婆。 治が自分の年金をあてにしていることを情けなく思っている。 夫とは何年も前に離婚、元夫は既に亡くなっている。 子ども好きで、ゆりが来たときは傷に軟膏を塗ったり服を縫ってあげたりした。 パチンコが趣味。 ・その他のキャスト 米山(民生委員)… 井上肇 日雇い派遣のリーダー… 毎熊克哉 初枝の元夫… 大嶋守立 山戸頼次(駄菓子屋店主)… 柄本明 根岸三都江(信代のパート友達)… 松岡依都美 JK見学店 店長… 黒田大輔 ニュースキャスター… 笠井信輔(フジテレビアナウンサー)、 三上真奈(フジテレビアナウンサー) 信代のパートの雇い主… 清水一彰 4番さん(亜紀の客)… 池松壮亮 柴田譲(亜紀の父親)… 緒形直人 柴田葉子(亜紀の母親)… 森口瑤子 柴田さやか(亜紀の実妹)… 蒔田彩珠 前園巧(警察官)… 高良健吾 宮部希衣(警察官)… 池脇千鶴 北条保(ゆりの父親)… 山田裕貴 北条希(ゆりの母親)… 片山萌美 ほか あらすじ紹介 柴田一家は東京下町にある一軒家に暮らしていた。 一家は、工事現場の日雇いで働く一家の主である治 (リリー・フランキー)、クリーニング工場でパートをしている治の妻・信代 (安藤サクラ)の収入に加え、高齢の初枝 (樹木希林)の年金と、治と息子の祥太 (城桧吏)が協力して万引きしてくる品々で生計を立てていた。 亜紀は風俗店で働いているが、理由があって一家にお金は一切入れていない。 いつも貧乏暮らしだったが、一家はとても仲良しだった。 一家は初枝の自宅で生活していたが、初枝は世間的には 独居老人ということになっており、家族一緒に生活していることは周囲には隠していた。 2月のある夜。 治はたまたま通りかかったアパートの一室のベランダに女の子ユリ (佐々木みゆ)が締め出されて放置されていることに気付き、放っておけずに自宅に連れて帰った。 ユリは体のあちこちに傷があり、治が見つけた状況からしても 明らかに虐待を受けている子どもだった。 傷のこと、誰にやられたのかを聞いても、ユリは「転んだ、お母さんは優しい」としか言わなかった。 信代は下手にかくまって大事になるのを恐れ、ユリにご飯を食べさせた後で元の場所に帰そうとした。 治と信代がユリを連れてユリがいたアパートの前に着いたとき、その部屋からは両親らしき男女が、 ユリがいなくなった責任を擦り付け合って激しく言い争う声が外まで響いていた。 これを聞いた信代はユリが可哀そうになり、面倒を柴田家で見ることにした。 ユリは無口だが優しい子で、一番年齢が近かった祥太によくなつき、祥太もユリの面倒をよく見ていた。 ユリが来ておよそ2か月。 ユリが柴田家に徐々に心を開いてきて、治の骨折も完治した頃。 一家は テレビのニュースでユリが話題になっていることを知った。 一家はこの報道で、ユリの本名が『北条じゅり』で年齢は5歳ということ、ユリの失踪を通報したのは児童相談所で、両親はユリが消えたことを隠そうとしていたことを知った。 ニュースでは、警察は両親がユリを殺して隠したのではないかという推理の元に捜査していることを告げた。 ニュースを見て慌てた治はすぐにユリを両親の元に帰そうとしたが、信代が治を止めて『両親の元に戻る』か、『柴田家で生きていく』かをユリに選ばせた。 ユリは名前を『リン』に変え、髪も切って変身し、柴田家に残ることを選んだ。 これは、突然妹ができたお兄ちゃんの心境そのもので、 治の愛情をユリに奪われるのがイヤで出てしまった嫉妬心のようなものです。 こういった行動から、 祥太は治を本当の父親のように思っているのがわかります。 祥太は既に治と信代が本当の両親ではないことは知らされていますが、治は特に祥太から「お父さん」と呼ばれることを望んでいます。 (治をお父さんと呼ぶように催促するシーンが何度かあります) 祥太自身は治と信代とどのように付き合っていけばいいのか悩みながらも、祥太も気付かないうちに親子と呼べるような信頼関係はすでに出来上がっていたということだと思います。 ちなみに、祥太がちょくちょく円盤状のものを削ったり、その円盤状のものを手すりなどに当てています。 祥太が持っていたあの円盤状のものは『ディスクグラインダー』という名前の、ガラスや石などを削る工具だそうです。 映画の中では祥太はガラスを削っていましたね。 これは恐らく、治が職場の工事現場からくすねて祥太に与えたものなのでしょう。 祥太からすれば、「父ちゃん」がくれた数少ないおもちゃの1つだったのかもしれません。 治と信代が初枝と一緒に住むことになった経緯 (一緒に歩く初枝と信代 引用:) 女刑事に「死体遺棄は重い罪よ?わかってる?」と聞かれた信代は「 捨てたんじゃない、誰かが捨てたのを拾ったんです」と答えています。 これはつまり、元夫と別れて子どもも親元を離れ、いわば本当の家族に捨てられて 孤独な老人だった初枝の前に治と信代が現れた、ということが推測できます。 また、初枝が信代にした「 私はあんたを選んだ」という発言は、お互いが同意の上で同居していることを表しています。 治の出所後、お金も住む場所にも困っていた2人が初枝と出会い、一緒に住むことを初枝が許したのでしょう。 治と信代の本名(正体)を亜紀が知らなかったことから、治と信代(もしかしたら祥太も)は、亜紀が初枝の元に来る前から初枝と同居していて、治と信代を初枝の本当の息子とその嫁だと思っていたのだと思われます。 また、治と信代の出会いは、信代と亜紀が恋バナに花を咲かせていた際、信代の「私も(治との出会いは)お客さんだった」という発言や、治と信代がそうめんを食べていた際の、治の「また一緒に店やるか?」、「お前もちゃんと化粧すればまだまだいけるよ」というような発言から、2人が水商売で出会ったのだと推測できます。 以下は小説版にしか書かれていないことですが、治はパチンコ店で他人のパチンコ玉をくすねている初枝に興味を持ち、声をかけたのが治と初枝の出会いとされています。 そして、その流れで初枝の自宅で生活することを初枝が許し、治が信代を連れてきたというわけです。 さらに『治』という名前は初枝の 本当の息子の名前で、『信代』という名前も 本物の治の妻の名前だそうです。 さらに、その昔は初枝、本物の治、本物の信代は一緒に生活していましたが、初枝と信代の関係が上手くいかずに、治と信代が初枝を置いて(捨てて)家を出て関係が切れてしまったという過去があるようです。 亜紀が初枝と一緒に住み始めた理由 亜紀は実家を出てから一度も帰っていないことから、亜紀と家族は仲があまり良くないことが推測できます。 また、亜紀が 実の妹の名前を源氏名として風俗店で使っていることなどから、 亜紀はさやかを憎んでいることが伺えます。 映画だけを見ると、恐らく亜紀は両親の愛を妹に奪われて実家に居場所がないと感じ、実家から出て初枝を頼ったのではと思われます。 なぜ頼ったのが初枝だったのかと言えば、初枝は譲の家に来たのが初めてではなく、亜紀と初枝はもともと面識があったからではないかと推測できます。 そうでなければ祖父の元妻(かなり遠縁)を頼りようがないですよね。 これはまた小説版でしか明かされていないことですが、譲の妻である 葉子は亜紀の本当の母親ではありません。 亜紀は譲の連れ子で、さやかは譲と葉子の子どもか葉子の連れ子のどちらかです。 恐らく亜紀は葉子に愛してもらえず、もしくは亜紀が葉子を母親として受け入れられず、結果、葉子はさやかだけを可愛がり、譲は何もしてくれなかった(葉子だけを大切にした)のでしょう。 そもそも、亜紀が実家にいない理由として語られていた『海外留学』は、亜紀がそう言って家を出たのか、両親が家出したことを周囲に隠すためにそう言っていたのかわかりませんが、どちらにせよ両親は亜紀が留学していないことを知っているはずです。 留学となれば様々な手続きやお金だって必要ですし、ある程度は書類の行き来もあるはずなので、両親が「亜紀は留学している」と思い込んでいると考えるのは無理があります。 つまり『亜紀の両親は、亜紀が家出していることを知っているが、そのまま放置している』と考えるのが妥当です。 それは暗に、亜紀が家にいない方が譲の家庭は上手くいっていることを示しています。 小説版には正解が書かれていましたが、 亜紀と初枝は、初枝の元夫の葬式で出会ったのが最初だそうです。 その後、亜紀と初枝は偶然別の場所で出会い、その際に亜紀が家族についての本音を漏らし、初枝が一緒に住むことを提案したようです。 初枝は元夫を奪った元夫の再婚相手を恨んでいるし、亜紀は譲の再婚相手である葉子を憎んでいる(愛をくれなかったから)、つまり初枝と亜紀は憎む対象が似ています。 亜紀は初枝に親の愛を求めていたと同時に、初枝に対してシンパシーのようなものも感じていたかもしれません。 地味に気になった亜紀の年齢についてですが、亜紀の実家に飾られていた写真で、亜紀は平成24年に高校を卒業していたことがわかります。 そうすると、公開年の2018年が舞台と想定して作られていたとすると、亜紀の年齢は24歳ということになります。 初枝が民生委員の男に独居老人を装っていた理由 米山という民生委員の男が現れた際、初枝は家にいた祥太とリンに裏口から出るように合図しています。 しかし普段は6人で暮らしていることを隠している素振りはないし、誰かと一緒に住んでいることがバレても初枝の年金の額が減らされたりなどの被害を被ることはないでしょう。 それなのに、なぜ米山にだけは細心の注意を払って隠す必要があったのでしょうか? 民生委員とは、民生委員法に基づいて厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員のことで、シングルマザーや独居老人など(所謂『社会的弱者』と言える人々)の自宅を訪ねて、困っていることなど色々と相談に乗り、場合によって必要なアドバイスをするのが仕事です。 理由の1つとしては、 初枝は社会的に『独居老人』でいた方が今後、国などから特別な援助を受けられる可能性があるため、それを受けられるように隠していたと考えられます。 また、米山が家に来た際、初枝の反応が「また来たか」というような雰囲気だったのと、米山の「 息子さんは今、博多に住んでるんだよね?」と発言から、 米山は初枝の本当の息子と交流は無いまでも、『初枝には息子がいて今は福岡に住んでいる』という情報を知っています。 そのため、初枝は米山だけには隠しておかないと、今の 家族を見られるだけでも怪しまれて探りを入れられる可能性もあるため、隠していたのだと思われます。 ちなみにこの発言は、治と信代が赤の他人であることを示す伏線になります。 治と信代が祥太とリンを盗んだ理由 (ベランダに締め出されていたじゅり 引用:) 祥太が拾われた時期は、祥太が自分の本名や本当の両親を知らないことから、 祥太は物心がつく前の0歳~1歳位の頃に治と信代に盗まれたのだと予測できます。 そして、常にお金に困っているはずの治と信代が、祥太とリンを盗んで育てた理由は、終盤で明かされる、 信代は子どもを作ることが出来ない体だったことが大きなヒントです。 2人は祥太とリンに「お父さん、お母さん」と呼んで欲しがっていたことから、 子どもを欲しがっていた(親になりたかった)ことがわかります。 しかし、信代は子どもができない体なので自然に子どもを授かることはできません。 特に信代はリンを帰そうとした治を直前でやめさせて、柴田家で育てることに決めています。 治と信代の過去は、殺人犯だったということ以外ほとんど明かされませんが、2人とも辛い子ども時代を送ったのだと思われます。 信代は家に帰ってこない祥太をけなげに玄関で待つリンを見て、リンの優しさに驚いたあまりに 「 『生まなきゃ良かった』って言われて育つと、ああはならないよね。 あんなに優しくなんかなれないんだよ…」と言っています。 信代の口ぶりから、恐らく信代も親にそういうことを言われて育ち、実際に信代は自分以外の人には優しくなれなかったんだと想像できます。 そしてもう少しさかのぼると、信代はリンの本当の母親である希の「産みたくて産んだんじゃない!」という叫び声に反応してリンを保護しようと決意したんだな、と納得がいきます。 また、刑事に「(子どもがいる人が)羨ましかった?だから誘拐したの?」と聞かれた信代は「 母親が憎かったかもね」と答えています。 信代は、 信代が切望している『子ども』を当たり前のように持っているのに、その子を虐待する母親に対する憎しみがとても強いです。 子どもを盗んだのは、『子どもが欲しかった』、『虐待されていた子を守るためだった』というのももちろんですが、 子どもを奪うことで母親に報復してやりたい、子どもの大切さをわからせてやりたいというのが一番大きな理由であり、「母親が憎かったかもね」という答えにも繋がります。 しかし、子どもを奪われた当人であるリンの母親は、リンが戻ってきた後もリンへの虐待をやめないので、信代の思い知らせてやりたいという願望は果たされていません。 治が祥太に自分の本名を名付けた理由 刑事が治に「なぜショウタと名付けたんだ?自分の本名だろう」と聞いたとき、治は口ごもったまま答えませんでした。 治が祥太に自分の本名でもある「しょうた」という名前を付けた理由は、親 が子どもに自分が成りたかった職業や大学に行ってほしいと願うことと通じる理由でしょう。 治は仕事で行った建築中の一戸建ての中で「ただいま~」と呟いてみたり、外でサッカーをしている親子を眺めた後に「祥太~、父ちゃんカッコイイ!」と呟いたりしていたことから、 普通の家庭や「父親と息子の絆」への憧れがあったのだとわかります。 しかし、治には殺人の前科があるため、その夢を叶えることは難しいでしょう。 治は 普通の人生を送りたかったという願いを、祥太に自分と同じ名前を付けることで託したのでしょう。 普通の家庭を築いてほしいなら万引きなんて教えるなよ、と思いますが、「教えてあげられることが万引きしかなかった、でも少しでも親らしく、何かを子どもに教えたかった」と治自身が語っています。 治は信代と違ってあまり後先を考えずに行動するタイプなので、この答えにはまぁ納得できます。 海に行った時の初枝について (引用:) 初枝が死ぬ前日に家族みんなで海に行ったとき、初枝は信代に「 お姉さん、よく見ると綺麗だね」と言い、突然褒められた信代が動揺して照れるシーンがあります。 これも初枝と信代が本当の家族ではないことを示すシーンです。 恐らく 初枝は信代の本当の名前を知らないか、忘れていたんだと思われます。 そして1人ビーチに残った初枝が波打ち際で遊ぶ5人を眺めながら「ありがとう」と口パクで言うのは、自分の死期を悟ってひっそりと感謝を述べていると共に、自分が選んだ選択 (赤の他人を自宅に迎え入れたこと)は間違っていなかった、楽しかったと初枝が思っていることを鑑賞者に伝えているシーンです。 初枝が治と信代と亜紀を迎え入れていなければ、初枝は独居老人として孤独に残された日々を過ごし、孤独死することになっていたでしょう。 初枝のへそくりについて (何かを見つめる初枝 引用:) 初枝は、元夫と再婚相手の子である譲の元を訪ね、お金を受け取っていました。 そして後にへそくりも見つかったので、これは『最終的に亜紀に渡すために取っていた』という意見もありますが、私は違うと思います。 初枝は元夫の再婚相手を憎んでいるはずですし、譲がお金を渡す時に「こんな事になってすまない」と言いながら(慰謝料のように)お金を渡します。 ということは、 元夫と再婚相手は初枝が納得する形で結ばれたのではないということでしょう。 初枝は、元夫と再婚相手の子である譲の家族、つまり 亜紀にも憎しみを抱いていたと思われます。 初枝の亜紀に対する態度は優しいおばあちゃんそのもので、ちょっとした変化で亜紀の心境がわかるほどに亜紀のことを知り、愛していたんだとは思います。 ですが恐らく、 初枝が亜紀と一緒に住もうと思ったのは「私から夫を奪った憎い家族に何か仕返しできないか」という理由や、「私を捨てた元夫の孫が今、私を心から必要としている」という優越感に浸りたいがためだったんじゃないかと思っています。 『復讐心を満たすことに利用しよう』と考えたことが、初枝が亜紀を家に入れたきっかけかもしれませんが、同時に亜紀は、初枝が愛した男の孫でもあります。 一緒に暮らすことで最終的に愛情も芽生えたはずで、初枝の言動がそれを物語っています。 結果、 初枝は亜紀に対して愛情も憎しみも抱いていた、というのが初枝の心境だと思います。 ちなみに、 元夫の再婚相手がもう亡くなっていることは、初枝が譲宅を訪れた際に、元夫の隣にもう1つ女性の遺影があったことからわかります。 あれが元夫の再婚相手であり、譲の母親だと思われます。 そして、初枝がお金を使っていなかった理由は『譲(元夫の家族)からお金をもらうこと』それ自体が目的だったからではないでしょうか。 初枝が譲の元を訪ねたのがいつからなのか正確にはわかりませんが、初枝のへそくりの金額から(確か15万円)、少なくとも5回は譲の家へ行っていて、初枝と譲の会話から、初枝と譲は「元夫の葬式以来会っていなかった」とわかるので、初枝は元夫が生きていた頃も譲から慰謝料をもらっていたんだと思われます。 そして、ここからがお金を亜紀のために残したのではないと思う理由ですが、それは亜紀が「(年金を)いくらもらってるの?」と聞いたとき、初枝は年金のことではなく、『譲からもらっている金のこと』だと勘違いして「私のは慰謝料だ」と答えています。 まして、初枝が死ねば亜紀は実家に帰ることになる可能性があるなら尚更です。 亜紀が警察に自白した理由 柴田一家は警察に捕まり、それぞれが事情聴取を受け、リンと祥太は言いつけ通りに初枝の居所を明かさず、亜紀の供述で初枝の場所が明らかになりました。 亜紀も最初は保身のために (警察沙汰になって両親に居場所がバレのを防ぐため、家族を守るため)口を割らないつもりでいましたが、 刑事から 初枝が亜紀の両親からお金を受け取っていたこと、治と信代に殺人の前科があることを知り、裏切られたと思った亜紀が自白したような流れで描かれています。 亜紀が警察に自供した理由は治と信代のこともありますが、一番は 「初枝が亜紀をお金のために利用していたのだ」(亜紀が思っていたような『家族』とは違っていた)と亜紀が思うように刑事が話をしたからです。 実際は、初枝は亜紀をお金のためにかくまっていたのではなく、ある種の優越感を得るためだったのがきっかけでした。 (恐らくですが) これだけでも亜紀にとっては裏切りかもしれませんが、実際、初枝は亜紀を本当の孫のように愛してもいました。 なので初枝が受け取っていたお金と亜紀は関係ありません。 しかし、刑事にとっては亜紀の気持ちはこの際関係なく、ただ遺体の居場所を聞き出すために、亜紀に「もう喋っちゃおう(家族を壊してしまおう)」と思わせるように話を進めたのです。 実際、警察が知れるのは彼らが取った行動だけで心の内までは知ることが出来ないので、刑事自身も「亜紀は治、信代、初枝に利用されていた」と解釈していたのでしょう。 事件の後、亜紀が初枝の家に戻っていた理由 事件が解決して落ち着いた後、亜紀が初枝の家を訪れているシーンがあります。 あのシーンは謎でしたが、小説版を見ると理由が明らかになります。 あの家は初枝の家でしたが、 家の名義は初枝の元夫のままになっていたようです。 亜紀の両親は、亜紀が初枝の元にいた理由を知ることになるでしょう。 家の名義が元夫のままになっていた、元夫の再婚相手も亡くなっていたということは、初枝の家は必然的に元夫の子である譲のものになります。 譲はあの家には何の思い入れもないでしょうし、亜紀が家を出た理由を知った譲は、初枝の家を亜紀に相続させたと考えるのが自然だと思います。 そうすることで再び亜紀を葉子とさやかから解放することが出来ますし、亜紀もまた初枝や家族との思い出の場所で生活することが出来ます。 亜紀の持っていた荷物が少なかったので引っ越し感は無いですが、亜紀は元々実家から出ていたので実家から持っていくものも無かったのだと思われます。 他に引っかかるのは、亜紀が家のカギを持っていなかったことです。 (窓が開いているかを確認していたため) 相続したのならカギも手に入れているはずですが、元々夜逃げ寸前で捕まったので、カギは家の中のどこかに放置してあるのかもしれません。 亜紀は家族に裏切られたと感じて警察に自白していましたが、亜紀の表情からは悲し気な表情は見受けられません。 それどころか明るい表情で初枝の家に戻っています。 そもそも裏切られたと思っていたらあの場所に戻りたいと思わないでしょう。 恐らく亜紀は実家で両親と話したり、過去を振り返って冷静に考えて、あの家族の愛や絆が本物だったことがわかったのでしょう。 一番最後にリンが見つめていたのは? 祥太とリンの誘拐、初枝の死体遺棄が明るみになり、祥太は施設、リンは本当の両親に戻ることになりました。 祥太は施設で恐らく友人もでき、綺麗な服も着せてもらえて、祥太が密かに望んでいた学校にも通うことができ、祥太は治と信代と離れることで明るい未来が訪れる様子が描かれています。 一方でリンは祥太とは逆で、虐待親の元に戻されてまた虐待を受ける様子が描かれます。 しかし、リンは柴田家と関わって、実の両親からは受けられなかった 本当の愛情を知り、本当の母親である希の甘い言葉にも従わなくなります。 今までリンは従えば殴られるとわかっていながらも、従わなければならないと思い込んでいたのでしょうが、 家に戻るか柴田家にいるかを信代がリンに選ばせてから、少しずつ、 自分にも選ぶ権利があるということ、 真の愛情がどういうものなのかをリンは学んだのでしょう。 ラストシーン、リンは家に入れてもらえないのか、玄関の外で柴田家で手に入れたビー玉を拾いながら信代に教えてもらった数え歌を歌い終わった後、身を乗り出してアパートの外を見つめます。 これは 見る人それぞれが自分なりの答えを出せるような演出だと思いますが、無表情で何とも言えない顔をしています。 私個人が感じたことは、 リンは恐らく治と祥太がまた通りかかることを期待して外を見たのだと思います。 リンは半年以上も両親と離れて暮らすことができたのですから、今さら両親と離れることに不安はないはずです。 むしろ柴田家に戻りたいと思っているはずです。 最後、誰かを見付けたかのように口を開けてさらに身を乗り出します。 ただリンが乗っていた台が揺れただけという可能性もありますが、もしリンが期待した誰かが現れたために身を乗り出したのだとしたら、可能性が一番高いのは亜紀です。 亜紀は初枝の家(リンの実家の近く)に戻っていますし、リンにちゃんと(合法的に)両親から離れられるようなヒントを与えてくれるでしょう。 治が祥太に「おじさんに戻る」と告げた理由 事件が発覚して、法的な罪は全て信代が被ることになりました。 治は久しぶりに祥太と再会し、拘置所にいる信代と面会した後、治が1人暮らししているアパートに祥太を泊まらせます。 その際、治は祥太に「父ちゃんからおじさんに戻る」と涙ながらに告げ、祥太はただ「うん」と答えました。 治は久しぶりに再会した祥太と一緒に釣りにして、祥太が本を読んで釣りの知識を得て驚きます。 そして祥太が実は賢い信だったことも知り、信代も、祥太に本当の親に繋がるヒントを祥太に伝えていることから、治は「祥太と親子の縁を続けるのは無理なのか」と悟り始めます。 寝る前に祥太のことを考えた治は「もう自分が教えてあげられることは何もない」のだとわかったのだと思われます。 自分は本を与える事も、学校に行くことも、何かを教えてあげることもしてあげられない情けない男だと知ったのです。 治と信代は本当は病院にいた祥太を迎えに行くつもりでいましたが、祥太に「僕を置いて逃げようとしたって本当?」と聞かれたときは「うん、ごめん」と答えました。 これは恐らく、祥太に嫌われようとしてあえてこのように答えたのです。 しかし、治は別れ際のバス停で祥太が自分と目も合わせてくれず、態度も冷たいのを見て心が痛み、祥太が自分にとってどれほど大切だったか改めて気が付きます。 祥太は、映画ではバスに乗って治が見えなくなった後に無言で後ろを見つめるだけでしたが、小説版では、バスに乗って治が見えなくなった後で「お父さん」とつぶやいています。 祥太は治と信代の愛情を知っていましたが、一方で、賢さゆえに治と信代のある種のモラルの低さに気付いて、新しい人生を歩むため、治に決別の意思を示すために、わざと治に冷たくしたのでしょう。 治と信代と別れるのはつらいですが、祥太は施設や学校での生活の方がずっと心地よかったに違いありません。 初枝の元夫の遺影写真は山崎努? (煙草を持って笑う山崎努 引用:) 遺影でしか登場しない初枝の元夫を演じた俳優について、「 あれは山崎努だ」と言う意見と「 全く違う人だ」という意見がありました。 確かに雰囲気が山崎努によく似ている気がします。 気になったので調べた結果、あの 遺影の人物は山崎努ではないということがわかりました。 理由はまず、 山崎努の名前がエンドロールに登場しません。 たとえ写真の出演だけでも、さすがにエンドロールにすら載らないというのはおかしいです。 キャストを調べた結果、遺影の人物は 大嶋守立(オオシマモリタツ)さんという俳優だったことが判明しました。 以下の大嶋氏の笑顔の画像を見てもらったら納得してもらえると思います。 (笑顔の大嶋守立 引用:) ・参考記事 ぴあ映画生活: 政府広報オンライン: 匿名さんこんばんは、管理人です。 一応映画をメインでしているので、映画の解説をするのに小説を参考にすることはありますが、小説の解説は現在は考えておりません。。 ) 以上、質問への回答とさせて頂きます。

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万引き家族の最後で亜紀(松岡茉優)が家に戻った理由やその後は?

万引き家族 ネタバレ

第71回カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを受賞した映画『万引き家族』。 日本映画の同賞受賞は、1997年の今村昌平監督作『うなぎ』以来21年ぶりの快挙です。 「万引き」という犯罪で生計を立てている一家を描いた本作には、批判も含めて多くの声が集まりました。 是枝裕和監督が本作で伝えたかった、本当のメッセージとは何なのでしょうか。 この記事では『万引き家族』をネタバレありで、感想を交えながら徹底解説&考察していきます。 家族の本当の関係や、劇中何度も出てきた「スイミー」が意味するもの、ラストシーンから読み取れる彼らのその後について考えてみませんか? この記事は映画のネタバレに触れています。 未鑑賞の方はご注意ください。 柳楽優弥の主演男優賞受賞が話題となった2004年の『誰も知らない』では、親に見放された子供たち。 2013年の『そして父になる』では、出生時の病院で子供を取り違えられ、血縁と過ごした時間との間で悩む2つの家族。 2016年の『海よりもまだ深く』では離散した家族のその後の交流。 漫画原作の『海街diary』でも、親と一緒に生活することのできなかった姉妹たちが、腹違いの妹と家族になるという、今までの是枝作品に通じるストーリーがそのまま映像化されています。 このように是枝裕和監督はこれまで様々な家族を自分の作品の中で描いてきました。 家族とはなんだろうという問いかけとも思えるこれらの作品たちの延長線上に、本作『万引き家族』は位置しています。 治と祥太を筆頭に、初枝はパチンコ店で他人のドル箱を大胆にネコババしたり、信代もクリーニング店に預けられた洋服のポケットなどに入っていた物を家に持ち帰ったりしていました。 もう1つの意味としては、「万引き 誘拐 されて集まった家族」だということ。 治は、りんを団地の外廊下から、治と信代は祥太をパチンコ店の駐車場から連れ帰りました。 広い意味では、信代、治、亜紀も初枝に拾われたと言えるでしょう。 実は仮題は『声に出して呼んで』で、脚本も「お父さん」「お母さん」と子どもに呼ばれたい、と願う主人公の気持ちを軸に描いていたのだとか。 プロデューサーら宣伝側の「内容が伝わりやすいタイトルを」との依頼により、現在の『万引き家族』に変更されました。 作中で小学校にも通えていない祥太が国語の教科書を朗読するシーンがあります。 祥太が読んでいるのはレオ・レオニ作の『スイミー』。 兄弟を失った黒い魚のスイミーが、兄弟そっくりの赤い魚たちと協力して、兄弟たちを食べたマグロを追い払って平和を手に入れる話です。 是枝裕和監督は、本作を「スイミーを読んでくれた女の子」に向けて作っていたと製作後に思うようになったと語っています。 しかし、ただ取材先で出会った少女へのトリビュートに留まらないと思えるほど、スイミーたちと祥太たち「家族」の姿は似ています。 それぞれが力のない存在である彼らが「家族」という大きな魚に扮して、社会というマグロに立ち向かおうとしていたのではないでしょうか。 亜紀だけは万引きする描写がなく、治や信代が給料を生活費に充てる中、初枝により収入を渡さなくても良いとされていました。 作中で初江は、前夫の月命日に後妻との間に生まれた息子夫婦が住む家を訪れ、供養ついでに慰謝料などの名目で金を無心しています。 亜紀はこの家の長女ですが、息子夫婦と初枝の間で彼女は海外留学中になっており、都内にいるとは知られていません。 亜紀が初枝の家にやって来たのは、才能あふれる妹・さやかに両親の愛情を奪われ、居場所を失ったと感じて家出をしたから……。 勤務先の風俗店「JK見学クラブ」での源氏名を「さやか」にしている点でも、妹へのコンプレックスが伺えますね。 本人からではないにせよ、初枝はすでに金を受け取っていると判断したのでしょう。 しかし、実際には慰謝料を貯めていたので、何らかの意図があったのかもしれません。 治たちの疑似家族は、祥太がわざと目立つように万引きをしたことが原因で瓦解しました。 事件を起こしたのは、「妹」のりんを助けるためだったのでしょうか。 それとも、犯罪を生業とする生活のおかしさに気付いてしまったからでしょうか。 何が答えなのかははっきりしていません。 なぜなら祥太は理由を語らなったからです。 祥太だけではなく、「家族」の誰もが自分の思いや世の中のことを語ろうとしません。 彼らには圧倒的に言葉が足りないのです。 もし、最初から万引きが悪いことで、悪いことをしなければ、自分たちは生きられないと伝えていたら、祥太の行動は違っていたのではないでしょうか。 また、初枝も亜紀の親から受け取ったお金を使わずに溜め込んでいたことを言っていれば、最後にわだかまりを残すことはなかったはずです。 彼らを崩壊させたのはりんを迎え入れたことでも、祥太がわざと捕まったことではなく、彼らの間に言葉が足りなかったことだと考えることもできます。 映画のラストでは、亜紀が警察で全てを話し、りん =北条じゅり の未成年者誘拐、初枝の死体遺棄など一家が犯してきた罪状は信代がひとりで引き受けました。 その後、信代は刑務所に入り、祥太は児童保護施設に入居し、治は一人暮らしを始めます。 治は信代の元へ面会に行っているようですし、今後も関係を続けていくのでしょう。 亜紀に関する描写はありませんが、実家へ戻ったか、一人暮らしの可能性も。 特に祥太は小学校で優秀な成績を残し、趣味にも精を出すなど最も新しい生活を謳歌しているようで、治たちとの日々に別れを告げるような表情さえ見せました。 一方、親元に戻ったりんは、母親からのネグレクトなど児童虐待が復活し、治と出会った時と同じ団地の外廊下で一人きりでした。 そしてラストは、台に乗って外を見ようとするりんの寂しげな表情を映し出し、『万引き家族』は幕を閉じるのです。 あえて最後で、血の繋がった家族と生活するりんの悲惨さを描いたところに、是枝監督からの問題提起があるのかもしれません。 血の否定ではなく、家族を家族たらしめるものとは?それは絆でも、他の何かでもいいのではないかという、多様性の提案にも感じました。 カンヌ映画祭の審査委員長を務めたケイト・ブランシェットは、本作を「見えない人々 Invidsible People 」の物語であると表現しました。 そんな本作を形作ったのは、見えない人々とは対照的な豪華俳優陣。 リリー・フランキーや樹木希林、安藤サクラや松岡茉優を始めとする、主演級の華やかな顔ぶれが揃っています。 しかし、彼らは演技合戦という表現が似合わないほど、自然な表情と言葉遣いで静かに社会の片隅で生きる人々を演じました。 池松壮亮や片山萌美、山田裕貴もわずかな出演時間ながら、主役の家族たちとはまた異なる「見えない人々」としての役目を果たしています。 彼らの名演技によって、映画『万引き家族』は多くの人の心に刺さる作品になったと言っても過言ではありません。

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映画「万引き家族」ネタバレ解説と感想|結末の意味はスイミーが教えてくれる

万引き家族 ネタバレ

第71回カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを受賞した映画『万引き家族』。 日本映画の同賞受賞は、1997年の今村昌平監督作『うなぎ』以来21年ぶりの快挙です。 「万引き」という犯罪で生計を立てている一家を描いた本作には、批判も含めて多くの声が集まりました。 是枝裕和監督が本作で伝えたかった、本当のメッセージとは何なのでしょうか。 この記事では『万引き家族』をネタバレありで、感想を交えながら徹底解説&考察していきます。 家族の本当の関係や、劇中何度も出てきた「スイミー」が意味するもの、ラストシーンから読み取れる彼らのその後について考えてみませんか? この記事は映画のネタバレに触れています。 未鑑賞の方はご注意ください。 柳楽優弥の主演男優賞受賞が話題となった2004年の『誰も知らない』では、親に見放された子供たち。 2013年の『そして父になる』では、出生時の病院で子供を取り違えられ、血縁と過ごした時間との間で悩む2つの家族。 2016年の『海よりもまだ深く』では離散した家族のその後の交流。 漫画原作の『海街diary』でも、親と一緒に生活することのできなかった姉妹たちが、腹違いの妹と家族になるという、今までの是枝作品に通じるストーリーがそのまま映像化されています。 このように是枝裕和監督はこれまで様々な家族を自分の作品の中で描いてきました。 家族とはなんだろうという問いかけとも思えるこれらの作品たちの延長線上に、本作『万引き家族』は位置しています。 治と祥太を筆頭に、初枝はパチンコ店で他人のドル箱を大胆にネコババしたり、信代もクリーニング店に預けられた洋服のポケットなどに入っていた物を家に持ち帰ったりしていました。 もう1つの意味としては、「万引き 誘拐 されて集まった家族」だということ。 治は、りんを団地の外廊下から、治と信代は祥太をパチンコ店の駐車場から連れ帰りました。 広い意味では、信代、治、亜紀も初枝に拾われたと言えるでしょう。 実は仮題は『声に出して呼んで』で、脚本も「お父さん」「お母さん」と子どもに呼ばれたい、と願う主人公の気持ちを軸に描いていたのだとか。 プロデューサーら宣伝側の「内容が伝わりやすいタイトルを」との依頼により、現在の『万引き家族』に変更されました。 作中で小学校にも通えていない祥太が国語の教科書を朗読するシーンがあります。 祥太が読んでいるのはレオ・レオニ作の『スイミー』。 兄弟を失った黒い魚のスイミーが、兄弟そっくりの赤い魚たちと協力して、兄弟たちを食べたマグロを追い払って平和を手に入れる話です。 是枝裕和監督は、本作を「スイミーを読んでくれた女の子」に向けて作っていたと製作後に思うようになったと語っています。 しかし、ただ取材先で出会った少女へのトリビュートに留まらないと思えるほど、スイミーたちと祥太たち「家族」の姿は似ています。 それぞれが力のない存在である彼らが「家族」という大きな魚に扮して、社会というマグロに立ち向かおうとしていたのではないでしょうか。 亜紀だけは万引きする描写がなく、治や信代が給料を生活費に充てる中、初枝により収入を渡さなくても良いとされていました。 作中で初江は、前夫の月命日に後妻との間に生まれた息子夫婦が住む家を訪れ、供養ついでに慰謝料などの名目で金を無心しています。 亜紀はこの家の長女ですが、息子夫婦と初枝の間で彼女は海外留学中になっており、都内にいるとは知られていません。 亜紀が初枝の家にやって来たのは、才能あふれる妹・さやかに両親の愛情を奪われ、居場所を失ったと感じて家出をしたから……。 勤務先の風俗店「JK見学クラブ」での源氏名を「さやか」にしている点でも、妹へのコンプレックスが伺えますね。 本人からではないにせよ、初枝はすでに金を受け取っていると判断したのでしょう。 しかし、実際には慰謝料を貯めていたので、何らかの意図があったのかもしれません。 治たちの疑似家族は、祥太がわざと目立つように万引きをしたことが原因で瓦解しました。 事件を起こしたのは、「妹」のりんを助けるためだったのでしょうか。 それとも、犯罪を生業とする生活のおかしさに気付いてしまったからでしょうか。 何が答えなのかははっきりしていません。 なぜなら祥太は理由を語らなったからです。 祥太だけではなく、「家族」の誰もが自分の思いや世の中のことを語ろうとしません。 彼らには圧倒的に言葉が足りないのです。 もし、最初から万引きが悪いことで、悪いことをしなければ、自分たちは生きられないと伝えていたら、祥太の行動は違っていたのではないでしょうか。 また、初枝も亜紀の親から受け取ったお金を使わずに溜め込んでいたことを言っていれば、最後にわだかまりを残すことはなかったはずです。 彼らを崩壊させたのはりんを迎え入れたことでも、祥太がわざと捕まったことではなく、彼らの間に言葉が足りなかったことだと考えることもできます。 映画のラストでは、亜紀が警察で全てを話し、りん =北条じゅり の未成年者誘拐、初枝の死体遺棄など一家が犯してきた罪状は信代がひとりで引き受けました。 その後、信代は刑務所に入り、祥太は児童保護施設に入居し、治は一人暮らしを始めます。 治は信代の元へ面会に行っているようですし、今後も関係を続けていくのでしょう。 亜紀に関する描写はありませんが、実家へ戻ったか、一人暮らしの可能性も。 特に祥太は小学校で優秀な成績を残し、趣味にも精を出すなど最も新しい生活を謳歌しているようで、治たちとの日々に別れを告げるような表情さえ見せました。 一方、親元に戻ったりんは、母親からのネグレクトなど児童虐待が復活し、治と出会った時と同じ団地の外廊下で一人きりでした。 そしてラストは、台に乗って外を見ようとするりんの寂しげな表情を映し出し、『万引き家族』は幕を閉じるのです。 あえて最後で、血の繋がった家族と生活するりんの悲惨さを描いたところに、是枝監督からの問題提起があるのかもしれません。 血の否定ではなく、家族を家族たらしめるものとは?それは絆でも、他の何かでもいいのではないかという、多様性の提案にも感じました。 カンヌ映画祭の審査委員長を務めたケイト・ブランシェットは、本作を「見えない人々 Invidsible People 」の物語であると表現しました。 そんな本作を形作ったのは、見えない人々とは対照的な豪華俳優陣。 リリー・フランキーや樹木希林、安藤サクラや松岡茉優を始めとする、主演級の華やかな顔ぶれが揃っています。 しかし、彼らは演技合戦という表現が似合わないほど、自然な表情と言葉遣いで静かに社会の片隅で生きる人々を演じました。 池松壮亮や片山萌美、山田裕貴もわずかな出演時間ながら、主役の家族たちとはまた異なる「見えない人々」としての役目を果たしています。 彼らの名演技によって、映画『万引き家族』は多くの人の心に刺さる作品になったと言っても過言ではありません。

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